文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明弁護士が出演 138回テーマ 「ネット社会の落とし穴 守秘義務」編

2011年10月11日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

138回テーマ 「ネット社会の落とし穴 守秘義務」編
2011年10月11日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 鈴木純子さん
・法律事務所ホームワン 中原俊明弁護士

138回テーマ 「ネット社会の落とし穴 守秘義務編」編(10月11日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸

今日は「秘密を守る義務」=「守秘義務」がテーマです。
インターネットの普及に伴って、よく話題になりますね。

中原

ちょっと前には,中国漁船衝突映像の流出事件がありましたが,実は最近、国際問題になりかねない事件がありました。羽田空港の管制官、50代のベテランということですが、アメリカの大統領専用機「エアフォース・ワン」の飛行計画などをブログに掲載していたというんですね。
ご本人は「こんなに問題になるとは思わなかった、驚いた」と、大変なことをしたという自覚がないんですね。しかしこれは超機密事項ですから、大問題なんです。

邦丸

我々、ともすれば忘れがちですが、ネットに書き込めば世界中に向けて発信していることになりますからね。それにしても、そもそも「守秘義務」って、法律的にはどういったものなんでしょう?

中原

「守秘義務」は、業務上知ることができた秘密を第三者に漏らしてはならないことを,法律によって定めたもの。弁護士や医師、宗教者といった職業の人間に対して課せられた義務のことを言います。

邦丸

公務員もニュースになることが多いですよね。

中原

もちろん公務員にも厳しく課せられていて、国家公務員法・地方公務員法で「職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない」と定められています。これは仕事中だけではなく、勤務時間外でも、休職・停職中、あるいは休暇中でも同じ。 もっといえば、退職後もずっと続くもので,「墓場まで持っていかなければない」んですね。

邦丸

厳しいものですね。

中原

厳密には、公務員が守るべき秘密には二種類あります。
一つは「職務上の秘密」。これは公売の最低入札価格、勤務評定、未発表の道路建設計画、入試問題など、公表されると公の利益に対してマイナスになるもの。
もう一つは「職務上知りえた秘密」。個人の財産や生活状態、履歴、家族関係、病歴、出生の秘密など。違反すると懲戒処分だけでなく,先ほど言った法律で,罰則を受ける可能性もあります。

邦丸

民間企業の場合はどうでしょう。ホテルの従業員がツイッターでアイドルが泊まりに来た情報を流したり、レストランの従業員がスポーツ選手の来店をつぶやく、といった事件が伝えられていますよね。

中原

これは,個人間の契約の問題。秘密保持契約,守秘義務契約と言ったりもしますが,契約に基づく責任になります。ただ,情報漏洩に関して線引きがあいまいで、従業員それぞれの良識に任せていた部分が多かったかもしれません。
それでもネット社会が進むに連れて、気軽に話した事でも大問題になる例が増えてきました。これからは社員に対して法令順守や危機管理を徹底し、秘密保持に関する契約を結ぶ必要があるでしょう。守秘義務や秘密保持といった問題に関して、経営者側もきちんと意識しなければならない時代です。

邦丸

ただ、会社としては秘密だよ、と言っている情報でも社会的に見れば明らかに犯罪という場合もありますよね。

中原

その場合は話が大きく変わってきます。
守秘義務と、社会正義のための内部告発、どちらが大事か。頭の痛いところですが、これについては来週のこのコーナーで、山田弁護士にバトンタッチして、お話しします。