文化放送『くにまるジャパン』に山田冬樹弁護士が出演 137回テーマ 「監視アプリの恐怖」編

2011年10月04日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

137回テーマ 「監視アプリの恐怖」編
2011年10月4日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 鈴木純子さん
・法律事務所ホームワン 山田冬樹弁護士

137回テーマ 「監視アプリの恐怖」編(10月4日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸

スマートフォンが普及して、便利なアプリが増える一方、社会問題になるケースも出てきています。先日来、ニュースで話題になっていた、女性が付き合ってる男性の行動を監視できるアプリなど、四六時中行動を把握されてしまうということで、ちょっと怖ろしい気もするんですが、いかがですか。

山田

やましい所がある、ないに関係なく、問題だと思います。
このアプリは「彼氏追跡アプリ カレログ」というもので、相手の持っているスマートフォンに入れておくと、「GPS機能で現在の居場所がわかる」。また「電源が切れた」と言い訳されないように、「バッテリー残量がわかる」。また有料会員になると、「通話記録を見る」こともできるようです。
もちろん、相手の同意が必要ということになっていましたが、実際は同意したかどうかの確認は不十分。相手がいない隙に勝手に登録できちゃったんですね。しかも「カレログ」ではない名称で登録されるので、そうしたアプリが組み込まれてることを気づかない男性もけっこういたようです。

邦丸

実際、問題化しているんでしょうか?

山田

一部のウィルス対策ソフトでも、「カレログ」の一部のバージョンが「スパイウェア」認定されました。「カレログ」の運営会社のホームページにも、総務省から口頭で指導を受けたというようなことが書いてあります。
相手の知らない間にこっそりとこのアプリを組み込んだとしたら、「不正指令電磁的記録作成・提供罪」に問われる可能性があります。有罪ということになると、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金になりますので、くれぐれもご注意ください。

邦丸

ただ、もし彼女から「あなたの事が好きで心配なの。このソフト入れてもいい?」といわれたら、断りきれる男性は少ないんじゃないでしょうか。

山田

断ったら疑われそうですし、しぶしぶ受け入れる人が多いでしょうね。争いはあると思いますが、なかには、プライバシー権を、放棄したと言えるためには、こういった包括的な形での同意では足りないんだ、と、情報を入手する都度、相手から同意を貰わなければ、プライバシー侵害として損害賠償の対象となるんだ、中にはまぁそういう厳しい見方をする専門家もいます。
韓国では既にこういうソフトがたくさん出ていて、実際にトラブルが続出しているところから、「悪魔のアプリ」「破局のアプリ」などと呼ばれているようですね。

邦丸

韓国では規制されていないんですか?

山田

実は、アプリを開発した男性が逮捕されています。容疑は「他人のGPS情報を利用したサービスを数十万人に提供したにも関わらず、合法的な手続きによる同意を得ていなかった」というもの。
日本版の「カレログ」も批判が多く、総務省の指示もあって「健全な方向」への改良が行われるようです。通話記録を見れるといったサービスは、もうやっていないようです。他にも、相手が形態を見れば、このソフトが組み込まれていることが分かるようにする、とかもあるようです。
GPSの情報は、上手に使えば子どもの安全や高齢者の見守りに役立つと思いますが悪用されると危険。実際に今年、携帯のGPS情報を使って、ストーカー行為を行っていた男性が逮捕されました。

邦丸

困ったものですね。GPS付きの携帯やスマホは、取り扱いに注意が必要だと思います。

山田

スマートフォンでは、GPS機能をオフにすることもできます。
自分の情報は自分で守り、適切に管理していただきたいです。