文化放送『くにまるジャパン』に三瀬宏太税理士が出演 130回テーマ 「復興財源はどこから?」編

2011年08月16日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

130回テーマ 「復興財源はどこから?」編
2011年8月16日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 鈴木純子さん
・法律事務所ホームワン 三瀬宏太(みせ・こうた)税理士

130回テーマ 「復興財源はどこから?」編(8月16日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸

震災から5ヶ月が過ぎました。復興の歩みも、少しずつ進んでいるようですが、いったい、どれくらい費用がかかるもんなんでしょう?

三瀬

政府の基本方針では、復興には、この先10年間で、少なく見積もっても23兆円、ということになっています。莫大な金額ですが、このうち19兆円は、前半の5年間の予算として考えられています。

そうすると、気になるのが財源をどうするかということ。政府は「復興債」という国債を発行して、お金を集める考えです。19兆円のうちおよそ半分の、10兆円は、この債券で調達するつもりのようですね。

邦丸

でも「国債」というからには国の借金ですよね。いずれにしても、やがては我々に覆いかぶさってくる?

三瀬

復興債が満期になったら、利息をつけて返すことになります。どうやって返すか…となると、邦丸さんの予想通り、増税。いまの時点で、確定しているわけではありませんが、今回の政府案が通れば、可能性はあります。

平成23年度の税制改正においては、それほど大幅な改正は無かったのですが、復興増税は今秋の決定を想定しているようです。

邦丸

税制改正、大幅なモデルチェンジはなかったようですが、消費税に関するところで、改正があったんですよね?

三瀬

先日、税制改正のお話をしたときにも触れましたが、すでに企業は消費税の取り扱いが変わることが決まっています。課税売上高が5億円を超える会社は、納付額が少し増えて、さらに会計事務もややこしくなってしまいます。

正直、実務の手間が増える割に増税幅の少ない改正かと思いますので、もう少し大幅な増税が必要になってくるかと思います。

邦丸

制度がコロコロ変わるので素人には対応できません、本当に専門家の知恵が必要だと思います。もちろん、被災地の復興は進めなければなりませんが、どうしても増税が必要なんでしょうか?

三瀬

増税以外の可能性としては、NTT株やJT株など、国がもっている財産を売り払うことが考えられます。ただそのためには法律の改正が必要ですし、通信政策の見直し、葉タバコ農家の支援といったややこしい問題につながります。現にJT株の売却は既に検討段階に入っています。

もう一つは「ムダを削る」ことですが、こちらも厳しい。高齢化の影響で医療費や年金など社会保障費が年々膨らみ、その分、公共事業費をどんどん削っているので、もうこれ以上は削りようがないというのが国の言い分です。子ども手当ての見直しや、高速道路無料化の廃止で、いくらかは確保できそうですが、まだまだ財源は足りない状況です。

邦丸

さらにアメリカの財政危機問題もありますよね。

三瀬

その問題も世界中に深刻な経済危機をもたらします。このまま円高が進めば、輸出関連の企業は収益が圧迫され、その結果、税収も縮小していくでしょう。

外部環境の変化にさほど影響を受けないためにも、今のうちに、復興に向けてしっかりと骨組みを作らないと、とにかく経済が回りません。一刻も早く、被災地の救済制度を整えていただきたいですね。

また今後、起こりうるこうした緊急事態に備えて、臨機応変に対応できるリスクマネジメント、危機管理体制が、国にも、企業や個人にも、大切になってくると思います。