文化放送『くにまるジャパン』に山田冬樹弁護士が出演 123回テーマ 「食中毒と法的責任」編

2011年06月28日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

123回テーマ 「食中毒と法的責任」編
2011年6月28日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 鈴木純子さん
・法律事務所ホームワン 山田冬樹弁護士

123回テーマ 「食中毒と法的責任」編(6月28日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸

焼肉店での衝撃的な食中毒事件から、およそ2ヶ月。折りしも梅雨、ますます食べ物に注意が必要なシーズンに入ってきましたね。

山田

厚生労働省の発表によれば、ことし1月から5月末まで、全国から報告のあった「食中毒」はおよそ150件。食品としては、生ガキ、フグ、鶏などが挙げられています。
焼肉店の事件は、いまだ責任の所在、原因など不明ですが、あちこちで責任のなすり合いをやってる感じですね。ただ報道で驚いたのは、「生食用」として流通しているのは馬肉と馬レバーだけで、他の牛や鶏は、公に「生食用」と認められたものはなかった、ということですよね。

邦丸

私もユッケなど嫌いじゃないですが、生で食べても大丈夫だよ、と保証された牛肉は、日本には存在しないんですよね。

山田

これもニュースを見てびっくりしましたが、インタビューに答える食肉業者自身が、「出荷してないのに、なんでユッケがメニューにあるのか、いつも不思議に思っていた」と話していました。
今回の事件で生肉の流通や食品衛生法が注目されましたが、ちょっと遅すぎたのではないでしょうか。法律を調べてみると、食品衛生法には規制はなく、わずかに、十三年前に厚生労働省が出した「生食用食肉等の安全性確保について」という通達があるだけ。

邦丸

どんな内容の通達なんですか?

山田

けっこう細かく規定されています。たとえば、と畜場では「レバーより先に胃や腸を取り出す場合は、破れないようにし、もし破れた場合はそのレバーは生食用にしない」とか、「生食用レバーと他の内臓(生食用でないレバーを含む)は、別の場所で取り扱う。洗浄、消毒は専用の設備を使う」など。このほか、食肉処理場、飲食店、それぞれでの取り扱いが細かく定められています。ただ一つ問題があります。単なる通達で法律ではないので、「罰則」がありません。ただ、通達違反にあたる肉を売ったり食中毒が起きたりすると、「業務上過失致死傷」で刑事事件になったり、損害賠償を求められることはあります。

邦丸

法律的にはどんな責任を負うのでしょう。

山田

たとえば、昭和56年に起きた「さつまあげ中毒」。3人が亡くなり、299人に傷害が出た事件ですが、製造・販売の社長に禁固2年、執行猶予3年。また平成8年、幼稚園の井戸水で園児2人が亡くなった事件では、園長に対して禁固2年、執行猶予4年…
といった具合です。いずれも刑法の定める「業務上過失致死傷」罪。
もちろんそのほかにも、食品衛生法での罰金刑や、民法上の債務不履行ないし不法行為として、損害賠償を請求されることも十分考えられますね。 

邦丸

被害を受けた側が、損害賠償を請求するにはどうすれば…?

山田

食中毒の場合、同じ店で多数の方が被害に会うので、その店の食事が原因だと言うところまでは、分かります。そうすると、保健所等がその店の食材、調理器具から食中毒の原因となった菌が発見され被害者の方の排せつ物等から、それと同じ菌が発見されと言うことであれば、そこで繋がりが証明できますただ、できれば、その店の領収証等があれば、証拠としてはっきりしますね。領収証がなくても、同時期に、同じ症状が複数の人に発生しますので、そこのところで因果関係がある程度把握できますから、一緒に食事をした人とかの証言でもよろしいかと思います。
食中毒が疑われたらまず病院へ。治療にかかった費用、会社を休んだ損害、慰謝料なども賠償してもらえる可能性がありますから、弁護士等の専門家に相談して見てください。