文化放送『くにまるジャパン』に中原俊明弁護士が出演 114回テーマ 「ボランティアと法律」編

2011年04月26日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

114回テーマ 「ボランティアと法律」編
2011年4月26日 午前9:45~放送

文化放送 『くにまるジャパン』
“得々情報 暮らしインフォメーション ホームワン法律相談室”

出演
・番組MC 野村邦丸さん
・番組パーソナリティ 鈴木純子さん
・法律事務所ホームワン 中原 俊明(なかはら としあき)代表弁護士

114回テーマ 「ボランティアと法律」編(4月26日 午前9:45 ~)

■放送内容要約(実際の放送内容は少し異なります)

邦丸
いよいよゴールデンウイークが近付いてまいりました。今年は物見遊山ではなく、ボランティアとして、東日本大震災の現場に出かけてお手伝いをする…そんな方も、たくさんいらっしゃるようですね。

中原
素晴らしいことですね。ボランティアの皆さんが後片付けをしたり、泥を取り除いたり、避難所で救援物資の仕分けや配布など担当されているようです。

邦丸
「ボランティア」最近ではすっかりおなじみの言葉ですが、法律ではどう定められているんですか?

中原
実は「災害ボランティア」の存在が、公に認められたのは、比較的最近のこと。
1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに、政府の防災基本計画に、「防災ボランティア活動の環境整備」そして「ボランティアの受け入れ」という項目が設けられました。同じ年、「災害対策基本法」も改正され、「ボランティア」という言葉が日本の法律に登場したんです。
邦丸

ボランティアの基本となる「助け合い」は、もともと日本の社会に根ざしているものだと思います。でも、それをあえて法律に盛り込むことで個人レベルの活動から、社会全体に、大きく裾野が広がっていくきっかけになったんでしょうね。

ところで、ボランティアの方が、ガレキを取り除く作業中に釘を踏んじゃったり、ケガをされること、あると思いますが、これは自己責任ということになるんでしょうか。

中原
ケガをされた方が所属する団体が、故意か、または過失で、「安全配慮義務」に違反していたとすれば、その団体が損害賠償責任を負う可能性があります。ボランティアが、他人にケガをさせてしまった場合も同じです。
ボランティアと事故を巡って、かつてこんな裁判がありました。
子供会のハイキングに参加した児童が溺死してしまい、亡くなったお子さんの両親が引率したボランティアに損害賠償を求めて裁判を起こし、認められたんです。

邦丸
善意のボランティアであっても、何か事故があれば、法律的に責任を負わなければいけないんですね。

中原
これは1983年の裁判ですが、当時、無報酬で社会的に有益な活動をしているボランティアに、法的責任を追及できないのではないかとの意見もあった。こうした訴訟自体に非難の声も上がったんです。

邦丸
損害賠償のことが頭にあると、ボランティアにいきづらいと感じる人もいるのでは?

中原
この事件の後、「ボランティア活動保険」が発足しました。これから東北の被災地にお出かけになる方には、ぜひ加入をオススメしたいと思います。

邦丸
どんな保障をしてもらえるんでしょう。

中原
ボランティアご本人がケガをされた場合、入院・手術・通院に対して保険金が支払われます。また、他のボランティアにケガをさせたり、他人のモノを壊したときの損害賠償金も支払われます。
年間の保険料は、最大で720円。出かける前に、お住まいの市町村の社会福祉協議会で申し込んでおくとよいでしょう。宿泊先や食料の確保と同様、準備しておきたいですね。

邦丸
せっかくボランティアに出かけても、自分の方が「助けられる側」になってしまっては仕方ありません。家族や知人、友人に心配をかけず、また被災地の負担にもならないよう、自分のことはすべて自分で面倒を見る、いわゆる 「自己完結」が必要になってきますよね。