危機管理

内部通報制度内部通報制度、効果的に運用するには?

内部通報制度とは

公益通報とは

以前は、「内部告発」という言葉の方が一般的だったと思います。企業や官公庁で違法な行為や、不正な行為行われていることを、監督官庁やマスメディアに通報することをそう呼んでいました。「公益通報者保護法」が2006年4月に施行されてから、「公益通報」という言葉が使われるようになりました。ただ、余り語感に馴染みがもたれず、「内部通報」とも言われています。

公益通報者保護法とは

公益通報をしたことを理由とする解雇を無効としています。その他にも給料を下げたり、降格したりとか、不利益な取扱いをすることを禁止しています。公益通報をした人を守ってくれます。

公益通報者保護法の理念

今までは内部告発というと、従業員が、会社の不正を監督官庁やマスコミに告発したりということが中心でした。ただ、こうした内部告発した人も、いきなり外部に通報した訳ではありません。会社の中で改善意見を言ったのに聞き入れてもらえなかったとか、会社ぐるみでやっていて、とても改善を言いだせる雰囲気ではなかった。それで、止むに止まれず外部に通報したという場合が多いのです。

こういった不祥事をマスコミとかに漏らしても、良いことはありません。マスコミでたたかれて家族までもが嫌な思いをしたり、これが原因で会社がつぶれる場合があるからです。

ですから、この法律は、匿名ではなくて、実名で社内に改善を要求できるような職場環境を作ろうという、そういう目的で作られています。

原則内部、外部への告発は例外的

ですから、法律は、次のように場合分けをしています。
通報対象事実が

  • あると思われる場合 → 労務提供先
  • あると信じるに足る相当な理由がある場合 → 行政機関も可
  • あると信じるに足る相当な理由があり、+ 次の何れかの事実がある場合
    • 労務提供先に通報すれば不利益な取り扱いがされそう
    • 証拠隠滅されそう
    • 労務提供先から通報するなと要求された
    • 書面通報20日経過したが調査通知なく、正当理由なく調査行わない
    • 人の生命、身体に危害が発生、又は、発生する急迫した危険あると信ずるに足る相当な理由がある
    →消費者団体、報道機関も可

外部に内部のことを通報するのは、最後の手段です。ただ内部通報規定を社内に設けていないと、会社を通り越して、消費者団体、報道機関に通報が行く可能性も有ります。

本法で保護される公益通報とされるための要件

通報者 労働者
目的 不正の利益を得る目的、他人に損害を加える、その他の不正の目的でない
対象 労務提供先又は役員等に、通報対象事実が生じ、又は、生じようとしている
通報相手 直接雇用者/派遣先/業務委託等の労務提供先

公益通報に対する現実の障害

労働者3千人へのアンケート
勤務先の不正を知っても44%が「通報しない」
理由に「解雇や不利益な扱いを受ける恐れ」を挙げる人が最も多い。

外部窓口の有用性

内部窓口だと、同じ社内の人間ということで、匿名希望者も話しているうちに自分の名前がばれるのではないかとの不安を生じ、結局重要な情報が伝われない可能性があります。外部窓口の場合、弁護士が守秘義務を負っていることからの信頼感があり、弁護士がインタビューすることにより告発内容の詳細を聞き取ることが可能です。

内部通報外部窓口の有用性

公益通報者保護法の欠点

「内部通報をした」と言う理由で不利益な取り扱いをする会社は余り無いでしょう。「成果が上げられなかった」とか、「適性を欠く」といったような別の理由で部署を異動させたり、転勤させたりすることが多いかもしれません。そうした隠れた動機を証明することはなかなかできません。

従業員が内部通報をしたがらないのは、人事上の差別だけが理由ではありません。職場内での人間関係が破壊されることに対する不安もあります。法律は「解雇無効、差別的取扱の禁止」を規定していますが、人間関係の破壊は防げません。

内部通報の社内窓口に限界

従業員が匿名通報をしたときに、匿名性を保てないのではとの不安が絶えずあります。匿名通報があった場合でも、社内窓口は対応してくれるでしょう。しかし、窓口担当者としては、通報を聞くだけでは事足りません。より事細かに聞いてきます。

  • そのクレームは、どこの部署に来ているの?
  • 関連部署にもその情報が伝わっている?
  • 上には報告行っている?
  • 部内では情報共有されている?
  • 担当者レベルでの対応で終えず、部署全体で対応しているか?
  • その対策の効果を検証しているのか?
  • PDCAサイクルは行われているか?

このように質問が細かくなるに従って、匿名通報者は次第に「あんまり、しゃべりすぎると、自分の名前がばれちゃうんじゃないか」と不安になってきます。こうして、通報者も言いたいことが言えず、担当者も聞きたいことが聞けず、双方にとって不満が残る結果となります。

内部通報制度を設けても、「あの部長の仕事のやり方は独断専行に過ぎる。」「あそこの部署は予算ばかり使っていて、ちっとも成果を上げていない」などといった、社内内部の足の引っ張り合いのような通報が多く、会社が真に必要としている内部通報があまり来ない、という声も有ります。

当事務所のご提案

  • 通報窓口は、社内と社外の両方に作ったほうがよいでしょう。
  • 当事務所に内部通報がきた場合、当事務所は通報者にインタビューを行います。
    インタビューを行うことで、事案の重大性、社内の管理体制の問題点が見えてきます。通報者も、法律上守秘義務を負っている弁護士が相手ですから、安心して話せます。
  • こうしたインタビューを経て、整理した形で、会社宛情報を上げますので、会社も早期の対応が可能です。
  • 法律事務所が窓口になっていますので、社内の争いが持ち込まれることは少なくなります。
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