【刑事弁護】罰金を納めないとどうなる?

2015年12月17日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

刑事弁護チームです。

前回の記事では「勾引状」について書きましたが,今回は刑事罰である罰金を納めなかった場合について書きます。

刑事罰には,死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留,科料などがありますが,よくニュース等で聞かれるのが「罰金」。

罰金は,裁判により刑罰として科せられたものですから,その罰金を完納しないと,刑が終了しません。

罰金を納められない場合,財産に対して強制執行することになりますが,強制執行すべき財産がない場合等では,労役場に留置されることになります。

労役場留置というのは,一般的に,1日あたり5千円に換算した日数分を,拘置所等で,軽作業をしながら過ごす(留置される)ものです。

また,罰金を納めず逃げたり,ほおっておくと,「収容状」という令状が発付されます。収容状は,裁判で刑が確定した被告人を,刑事施設に拘禁するために発せられる令状で勾引状に準じています。

収容状につき,刑事訴訟法には下記のように規定されています。

第四百八十四条  死刑、懲役、禁錮又は拘留の言渡しを受けた者が拘禁されていないときは、検察官は、執行のためこれを呼び出さなければならない。呼出しに応じないときは、収容状を発しなければならない。

また,法務省の徴収事務規程では,こう規定されています。

第32条
罰金又は科料に係る徴収金の納付義務者を労役場に留置する場合において,その者が呼出しに応じないとき,逃亡したとき又は逃亡するおそれがあるときは,検察官は,収容状を発付して,検察事務官又は司法警察職員に対し,その執行を指揮する。

上記のとおり,収容状は裁判官ではなく,検察官が発付します。
これは,裁判は裁判官(裁判員の場合もあり),刑の執行は検察官(懲役以下の場合)と規定されているため,収容状は検察官が発付するものです。