【刑事弁護】パスポートをホテルに置いたまま出かけていただけで逮捕?

2015年09月09日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

ホームワン 刑事弁護チームです。

日本国籍の無い訪日外国人が,パスポートをホテルに置いていて,路上で携帯していなかったとして,現行犯逮捕されたという事案があります。

ホテルにあるのに,パスポートをその場に持っていなかっただけで?と思われるかもしれません。

出入国管理及び難民認定法23条1項では
「第二十三条  本邦に在留する外国人は、常に旅券(次の各号に掲げる者にあつては、当該各号に定める文書)を携帯していなければならない。ただし…」
と規定されています。罰則は10万円以下の罰金です。

刑事訴訟法217条には
「第二百十七条  三十万円(刑法 、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、第二百十三条から前条までの規定を適用する。(現行犯逮捕できる)」
と書かれ,法定刑の最高が罰金30万円以下の罪(上限30万円について,法律は限定されている)については,軽微事件という扱いで,無条件に逮捕は許さないとされています。

さて,本件については前記217条が適用されるのでしょうか。

本件の容疑は,出入国管理及び難民認定法違反で10万円以下の罰金ですから,217条に定められた「2万円」を超えており,217条は適用できません。

従って,現行犯逮捕は可能ということになります。

しかし,本件で勾留される可能性もかなり低いのではないでしょうか。