【刑事弁護】あっせん収賄とあっせん利得処罰法との違い

2015年08月10日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

ホームワン 刑事弁護チームです。

ゼネコンが,市有地における民間病院の建設をめぐり,受注を確実にするため,裏金の一部を地元議員に提供し,そのゼネコンが医療法人との優先交渉権を得て、受注が確実になったと報じられました。

このような事が実際に行われた場合は,「公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律違反(通称『あっせん利得処罰法違反』)」又は「あっせん収賄」若しくは両罪に抵触するものと考えられます。

両罪とも,口利きの見返りに報酬を得ることを禁じるものですが,その大きな違いを簡単に説明します。
 (賄 → あっせん収賄 , 利 → あっせん利得処罰法)

[処罰される公務員の主体]
【賄】全ての公務員
【利】公職にある者→衆・参議員,同議員秘書,地方公共団体の議会の議員,同団体の長,公務員に準ずるもの(法人)の役職員

[あっせんのおおまかな内容]
【賄】他の公務員に職務上不正な行為をさせ又は相当の行為をさせないことを要する。
【利】上記の内容+他の公務員に適法な職務行為をさせ又は不当な行為をさせないことも含める。

[その他の限定]
【利】あっせんの内容を,国若しくは地方公共団体が締結する売買,貸借,請負その他の契約又は特定の者に対する行政庁の処分に関するものに限定

【利】あっせんの方法は,請託を受けて、その権限に基づく影響力を行使したものに限定

【利】あっせん行為の報酬としての財産上の利益の収受に限定(非財産的な利益な地位・名誉や情交等は含まない。)