【刑事弁護】「損害賠償命令制度」とは?

2015年03月26日
弁護士法人 法律事務所ホームワン

ホームワン 刑事弁護チームです。

三重県の女子中学生に対する強制わいせつ致死事件で,被告人の少年に実刑判決が言い渡されました。

報道によりますと,遺族側は少年側に対し「損害賠償命令制度」を利用して,約1億円の損害賠償を求める手続きに入るようです。

被害者は,刑事事件の弁論手続が終了する前に,この申し立てをする必要があります。そして有罪判決が出ると,その判決を下した裁判官が,同じ刑事裁判記録をもとに,損害賠償命令についての審査を行います。

損害賠償命令制度を用いますと,申し立て手数料は一律2,000円と安く,原則4回までの審理で決定が出ます。

この決定に,異議申し立てが出た場合,民事訴訟に切り替わりますが,新たに訴状を提出する手間は省けます。

ただ,殺人,傷害致死,危険運転致死,強姦,強制わいせつ,逮捕監禁,誘拐等,人の生命身体等に関して行われた犯罪の場合に限定され,全ての事件で利用できる訳ではありませんので,被害に遭われたら,弁護士にご相談されてはいかがでしょうか。

女子中学生が被害者の場合、本来生きていたら得られたであろう生涯収入等の額も大きいため(逸失利益といいます)、損害賠償額もかなり高額なものとなると思われます。