債権回収

担保による債権回収債権を差し押さえるための担保の確保、債権保全とは

人的担保(保証人)

会社が支払を怠っても、代表取締役が個人責任を負う訳ではありませんから、代表取締役の個人保証をとることが重要です。

代表取締役に個人保証をさせれば、経営が苦しくなって来た時も、自分が個人保証している債務を優先的に返済しようとしますから、その意味でも有効です。

会社が破たんするような場合、代表取締役にも支払能力がないことが殆どですので、この時点で保証をとるとなれば、代表取締役以外の第三者から個人保証をとることが重要です。

代表取締役以外に、親会社や、実質的なオーナーに保証させることも考えられます。 第三者が保証人になれば、債務者も第三者に迷惑をかけまいとの思いから、優先的に弁済してもらえる可能性があります。

口約束も契約としては有効ですが、民法446条が「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」と定めているため、保証の場合は必ず書面で行う必要があります。 継続的な取引から発生する売掛金を担保するためには、通常の保証ではなく、根保証(継続的保証)にする必要があります。継続的取引がある場合、通常基本契約を締結しますが、その際保証人を立て、継続的取引から生ずる一切の債務につき保証させることがよく行われます。

物的担保

金銭的な価値のあるものを担保に差し入れることです。不動産(土地建物)、動産(在庫商品、機械設備、原材料)などが担保となります。

不動産について抵当権を設定してもらう場合、仮登記ではなく本登記にしてもらうことが必要です。仮登記だと、強制執行するのに訴訟を提起し、判決を貰うことが必要だからです。

あなたに優先する抵当権者がいる場合、その被担保債権が物件の価値を上回る場合、後順位の抵当権者が強制執行をしても、裁判所は「無剰余却下」といって、競売手続を途中で打ち切ってしまいます。ただ全く無意味という訳ではなく、債務者がこの不動産を売ろうというときは、邪魔になるこの抵当権を消すために数十万円程度払うことがあります(俗にハンコ代といいます)。

権利証、実印押捺の委任状、印鑑証明の3点を渡されて、「これを使っていつでも登記して良いから」と言われても、安心してはいけません。なぜなら第1に、権利証がなくても登記はできるため、債権者不知のうちに不動産が譲渡ないし別の者に担保設定されてしまう可能性があるからです。第2に、司法書士は、登記時に本人から直接登記意思を確認することになっており、それができないと登記申請には応じてもらえません(司法書士を頼まず自分で登記すれば別ですが)。

商品、原材料を譲渡担保とする場合、商品、原材料は絶えず入れ替わるため、集合動産譲渡担保といって、将来搬入される商品等にも譲渡担保の効力を及ぼすことが必要です。この場合の対抗要件については、「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律(動産債権譲渡特例法)」による登記を利用することが考えられます。ただし、担保の評価が難しく、担保実行の際、商品が二束三文でしか売れない可能性もあり、それほど利用されていません。相手が同業者で、自分の販売ルートに乗せることが可能、もしくは、原材料を自社製品の製造に流用できるといったことがあれば、検討しても良いでしょう。

物を相手方に売った場合、所有権留保と言って、「物は引き渡すが、支払いが終わるまでは所有権を移転しない」といったことがよく行われます。その場合、物品に自分が所有権留保をしている旨を示すラベルを貼ることが必要です。

金銭債権担保

金銭債権担保

取引先が様々な取引に基づいて取得している建築請負代金債権や売掛代金債権等を請求する権利を担保に取るやり方です。

かつては、債務者から、日付空欄で、債権譲渡通知の内容証明郵便を予め受け取り、実行の際はこれを内容証明郵便で発送するやり方しかありませんでした。しかし現在は、動産債権譲渡特例法による登記をしたうえで、いざ担保実行の時は、動産債権譲渡通知を送ることもできます。

民法における場合と異なり、「譲渡人若しくは譲受人が当該債権の債務者に第11条第2項に規定する登記事項証明書を交付して通知をし、又は当該債務者が承諾をしたときは、当該債務者についても、前項と同様とする。」とあり、この通知は債権譲受人が単独で出しても良く、ただ登記事項証明書を添付することが必要になります。

実務上は、債務者の納得を得るため、譲渡人と譲受人が連名で通知を送ることが多いようです。また内容証明郵便は郵便局のキャパもあって、一度に発送できる枚数に限りがありますが、特例法の譲渡通知は大量に発送することが可能です。

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