債権回収

支払督促支払催促を受けた場合のご注意

支払督促とは

金銭の支払いを求めて強制執行するには、強制執行の裏付けとなる公的な文書である「債務名義」が必要になります。

債務名義を得るには、1)裁判して判決をとる、2)裁判して、和解の結果を調書にして貰う、3)調停を申し立て、話し合いの結果を調書にしてもらう、4)公証人役場で公正証書を作成する、5)支払督促を申し立て仮執行宣言付支払督促を取得する方法があります。

支払督促は、裁判所が書類を審査するだけで出してくれるため、ほかの手続に比べ、早くて、簡単です。

但し、相手から異議を出されると、訴訟手続きに移行してしまいます。そうなると「最初から裁判を起こした方が早く決着がついたのに」ということになってしまいます。

支払督促の申立

債務者の住所を管轄する簡易裁判所に申し立てます。

債務者が会社ならば登記簿上の本店所在地にする必要がありますが、同社のある支店が行った業務についての請求であれば、その支店を管轄する簡易裁判所に申し立てることができます。

裁判所の納める費用も、裁判した場合の半分ほどです。

手続きの流れ(2回の申立が必要です)

1.支払督促

支払督促を裁判所に申し立てると、裁判所の書記官が書面をチェックして(当事者の出頭は不要)、問題がなければ「支払督促」という書面を、債務者に送達します。

裁判官は関与せず、書記官の権限で行われる手続です。

債権者には支払督促が発付された旨だけが通知されます。

債務者が支払督促を送達されてから2週間以内に異議を申し立てる必要があります。

2.仮執行宣言付支払督促

債務者から異議(督促異議)の申立がない場合、裁判所は債権者の申立により、仮執行宣言付支払督促を発付し、債権者に送付し、債務者に送達します。

債権者が仮執行宣言の申立をできる時から30日以内にその申立をしないときは支払督促は失効します。

債務者が支払督促を送達されてから2週間以内に異議を申し立てる必要があります。

債務者から異議(督促異議)の申立がない場合、支払督促は確定し、仮執行宣言付督促命令を債務名義として強制執行することができます。

送達

支払督促を債務者に送達するときは、「特別送達」と言って、郵便局の職員が直接債務者に手渡した上で、受け取った者からサインをもらいます。この時点で「債務者に送達された」ことになります。

債務者が不在の場合は不在通知票が債務者住所の郵便受けに投函され、留置期間を過ぎると裁判所に戻されてしまいます。この場合、休日に送達して貰うようにしたり、就業場所に送付して貰うようにしますが、それでも送達できないときは、債務者が実際にそこに居住しているかどうかを調査し、調査の結果居住していることを裁判所に報告すれば、書留郵便に付する送達(付郵便送達)をしてもらいます。付郵便送達の場合、不在・留置期間経過のために書類が裁判所に戻されても、裁判所が発送した時点で送達の効力が発生します。

債務者ないしその従業員ないし同居人が正当な理由なく受け取らなかった場合は、郵便局員はその場に郵便を置いて行きますが、これを差置送達と言います。

債務者の住所、就業先も不明のまま2か月が経った場合は、申立は取下げたものとみなされます。

支払督促は公示送達によることはできませんが、支払督促が送達された後、債務者の住所が不明になれば、仮執行宣言付支払督促については公示送達によることが可能です。

督促異議の効果

督促異議があると、通常訴訟に手続きが移行します。

仮執行宣言付支払督促の送達2週間内に督促異議をすれば、支払督促の確定は遮断されますが、執行力も停止されません。債務者が強制執行を止めるには、強制執行停止決定を得ることが必要です。この場合担保のための保証金を積むことが必要になります。

支払督促の確定と既判力

支払督促は、書記官の権限で発付され、裁判官が関与せず、審尋も行われないため、既判力はありません。

ネットを利用しての申立も可能に

現在は、裁判所により支払督促オンラインシステムが構築され、一般に公開されており、これを利用すればネットを通じて支払督促の申立てを行うことができます。このシステムで申立できるのは、貸金、立替金、求償金、売買代金、通信料、リース料の6類型及びこれらの複合型に限られています。

申立を1件ごとに入力する単数申立用インタフェースと、複数件の申立を1回の送信で行う複数申立用インタフェースとがあります。大量に申立を行う法人債権者の場合は後者の方が便利でしょう。

これを利用するために、次の環境整備が必要になってきます。

  • 電子認証制度
    法人の場合は「商業登記に基づく電子認証制度」を利用して電子認証登記所から、利用者が個人である場合は公的個人認証サービスから電子証明書の発行を受けることになります。 電子署名とは、書面での申請における押印やサインに相当する行為を電子的に行う技術です。
  • Java Runtime Environment (JRE) のインストール
  • 申立用プログラムのインストール

参考:http://www.tokuon.courts.go.jp/

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