企業法務コラム

【企業法務】最近の労働災害の傾向 高齢者の労災増加を防ぐには

平成30年度からスタートした第13次労働災害防止計画は令和4年度、すなわち令和5年3月末で終了します。

同計画当初は「死亡災害の発生が止まらない製造業や建設業、災害が増加した業種の事業場を中心に、誰もが安全で安心して働くことができる職場環境作りを実現する」という趣旨が掲げられていましたが、最近は、小売業・社会福祉施設での「転倒」「動作の反動・無理な動作」による労災が増加しています。

厚労省が令和4年5月30日付で公表した労働災害発生状況によると、死傷者数について、13次防の前年度たる平成29年比でみると、業種別では小売業が21.5%増、社会福祉施設が110.8%増となり、労災原因では「転倒」が18.9%増、腰痛等の「動作の反動・無理な動作」が28.4%増となっています。

60歳以上の雇用者数は過去10年間で1.5倍に増加しています。特に小売業等の第三次産業で増加し、労災による休業4日以上の死傷者数では60歳以上の労働者が占める割合は25.7%にも達しています。こうした状況が、小売業等での労災、転倒等の労災の増加につながっていると思われます。

高齢者の労災を防ぐため、ヒヤリハット例の収集及び共有、高齢者の身体特性に応じた作業環境の整備、加齢による心身の衰えのチェック項目(フレイルチェック)の導入、厚生労働省作成の「転倒等リスク評価セルフチェック票」等の活用等、きめ細かな対策が必要となっています。

2022年06月09日
法律事務所ホームワン