企業法務コラム

【企業法務】ウェブ広告についての景表法ガイドライン改訂の動き

景品表示法(景表法)は、商品・サービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制しています。その中でも重要なのが不当表示の禁止です。商品・サービスの品質や価格について実際よりも著しく優良又は有利と見せかける表示が行われると、消費者の適切な商品・サービスの選択が妨げられてしまいます。

このため、景品表示法では、一般消費者に商品・サービスの品質や価格について、実際のもの等より著しく優良又は有利であると誤認される表示(不当表示)を禁止しています。注意いただきたいのは景表法に違反する不当表示については、事業者側に故意・過失がなかったとしても、景品表示法に基づく措置命令が行われ、2016年4月1日以降は課徴金制度が導入され、事業者が不当表示をした商品・サービスの「売上額」に3%を乗じた金額をとられてしまうことがあることです。

不当表示には次のようなものがあります。

優良誤認表示:
商品・サービスの品質、規格、その他の内容について、著しく優良であると一般消費者に誤認される表示(他の国産牛を松阪牛と偽る)

有利誤認表示:
商品・サービスの価格、その他の取引条件についての価格や取引条件に関して、著しく有利であると誤認される表示(実際には、自社に不利となる他社の割引サービスを除外した料金比較であるにもかかわらず、あたかも「自社が最も安い」かのように表示)。

その他にも、無果汁であることを隠し果汁ジュースと名乗る、原産国を偽る、貸金業者が融資費用を偽る、不動産のおとり広告、有料老人ホームについて職員数等を偽る等、公取委・消費者庁が不当表示として具体的に指定しているものがあります。

ウェブ広告については2011年10月28日に消費者庁が不当表示に関するガイドラインを定めていますが、そこではバナー広告が想定されています。
しかし、最近はアフィリエイト広告は変化を続けており、比較サイト、ポイントサイト等の運営会社が、当該サイト等に自社ではなく他社の商品・サービスのリンク等を載せ、当該サイト訪問者が商品画像リンク及びテキストリンク等をクリックする他社のサイトにとび、そこで商品購入が行われ、当該アクセスに応じた成功報酬を運営会社が受け取るといったこともよく行われています。

こうした広告では、一見すると中立的な第三者が商品・サービスの紹介を行っているかのように装っている記事風の広告がなされていたり、体験談を掲載する自体がアフィリエイトサイトとなっていたり、検索エンジンを活用した際に、検索結果と一緒にアフィリエイトサイトに誘導する広告を表示するしたりと様々な手法が用いられています。

そうした場合、実際販売やサービスを行っている他社が、そのサイトの内容の決定に関与している場合、そのサイトの広告は、当該他社が行っているものとされ、景表法の定める不当表示があれば、当該他社に措置命令が科されるような形で、ガイドラインを改訂する動きがあります。既に、2022年5月に消費者庁が新ガイドラインについて、パブリックコメントを求めており、この改定も近いうちに実現するものと思われます。

2022年05月18日
法律事務所ホームワン