企業法務コラム

コロナ禍で在宅勤務を希望した派遣社員の雇止め

3月15日付「労働判例」(1257号)に東京地裁令和3年9月28日付東京地裁判決(ロバート・ウォルター・ジャパン事件)の判例解説が掲載されていました。事案は、次のようなものです。

① 令和2年2月25日Y社とXとの間で、契約期間3月2日から3月31日まで、派遣先A社で勤務する内容でBを派遣社員として雇用する契約が成立した。
② Xが新型コロナ感染の拡大に不安を覚え、2月29日にY社にテレワーク勤務を求めた。
③ Y社がA社に交渉して3月10日から在宅勤務を認められた。
④ A社の就業時間が9時から17時30分のところ、Xは勝手に7時から15時半での勤務にしたため、A社はテレワーク勤務を打ち切り、出社を求めた。
⑤ その後A社はY社に労働者派遣契約を更新しないことを告知し、3月19日、Y社はXに上記告知を伝え、31日で契約を終了し、更新しない旨を伝えた。
⑥ XはY社に対して、上記雇止めを不法行為として495万円の損害賠償請求をした。

判決は、
㋐3月初め頃は、まだ通勤により感染する可能性の有無、その危険性の程度について、十分な知見がなかった、
㋑Y社もA社と交渉し、リモートワークを実現しており、安全配慮義務違反はない、
㋒Xはまだ一度も更新もなく、契約の更新を約束されていた訳でもないため、
雇止めの違法を主張できないとして、Xの請求を棄却し、Y勝訴の判決を下しました。

本件は㋒の点だけでも勝負あったと見られる案件ですが、今後同種訴訟があった場合、㋐、㋑の点が参考になります。もし雇止めが問題になるような案件で、従業員のリモートワーク要望時期において通勤による新型コロナ感染の可能性・危険性について、十分な知見があった時期の場合、会社が十分な対応をしなかった場合、特に従業員に基礎疾患があったり、職場が人的接触が密な職場であった場合、不法行為となる可能性も否定できないでしょう。

2022年04月01日
法律事務所ホームワン