企業法務コラム

【企業法務】新型コロナウィルスと出勤停止

2月1日付けで、新型コロナウイルス感染症が指定感染症として定められました。これにより、労働者が新型コロナウイルスに感染していることが確認された場合は、感染症法に基づき、都道府県知事が就業制限や入院の勧告等を行うことができることとなります。これには新型コロナウィルス感染者だけでなく、疑似症患者であって「当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者」「感染症の無症状病原体保有者」も、感染症の患者とみなすとの規定もあります(感染症法8条2項、3項)。
ただ、この勧告は、全ての業種に関わるものではありません。この点は感染症法18条に「感染症を公衆にまん延させるおそれがある業務として感染症ごとに厚生労働省令で定める業務に、そのおそれがなくなるまでの期間として感染症ごとに厚生労働省令で定める期間従事してはならない。」とある通りです。
指定感染症になったから、労安法68条の「就業制限の措置の対象となる」と解しておられる方もいますが、現状ではそうなっていません。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00002.html

厚労省発表のQ&Aにも「問3  労働安全衛生法第68条に基づく病者の就業禁止の措置を講ずる必要はありま
すか。」との問に対する回答は「2月1日付けで、新型コロナウイルス感染症が指定感染症として定められたことに
より、労働者が新型コロナウイルスに感染していることが確認された場合は、感染症法に基づき、都道府県知事が就業制限や入院の勧告等を行うことができることとなりますので、それに従っていただく必要があります。労働安全衛生法第68条に基づく病者の就業制限の措置については対象となりません。」となっています。

ただ、労安法68条の対象とはならないにしても、業務命令として出勤の停止を命ずることはできます。労働者に労働する義務はあっても、労働する権利はないからです。問題は、休業手当が発生するかです。季節性インフルエンザと同様、従業員を強制的に休ませる法的根拠がないため、「使用者に責が帰すべき事由よる休業」となり、休業手当を支払う必要が生じます。

2020年02月03日
法律事務所ホームワン