【企業法務】ホンダ、定年を60歳から65歳に延長へ

2015年12月02日
法律事務所ホームワン

ホンダは、国内のおよそ4万人の正社員を対象に、定年を現在の60歳から65歳に延長する方向で労働組合側と基本合意したということです。ホンダは来年度中に定年を延長することを目指し、組合側と最終的な調整を進めています。ホンダはこれまで、定年後の社員を1年契約で再雇用する制度を導入していましたが、賃金が定年直前の半分ほどに落ち込むことなどから、制度の活用は対象者の50%余りにとどまっていました。ホンダは定年の延長によって、賃金を定年直前の80%程度とすることで、人材の確保を図る一方、退職金制度の改定や、業界平均よりも高い時間外手当の減額、出張日当の廃止などを通じて捻出し、全体の人件費が増えないようにするそうです。

高齢者雇用安定法9条は、定年制を定める企業に以下のいずれかの措置を講じることを義務付けています。従わない場合は指導や助言が行われますが,それでも従わない企業名は公表する制度もあります。
1 定年の65歳への引上げ
2 継続雇用制度の導入
3 定年の定めの廃止(本人が働けなくなるまで雇用する)
しかし、現在のホンダと同様、企業の圧倒的多数が継続雇用制度(定年を現水準で維持しながら、定年後65歳まで再雇用する)を採用しており、定年制の引き上げを行う企業は稀でした。ただ、再雇用の場合、賃金水準は定年当時の半分程度という会社が多く、高額な退職金を出す大企業では継続雇用に応じるインセンティブが低く、ホンダでも半分は退職する選択をしていました。ただ、団塊の世代の一切退職は、企業体力を奪うことにもありうるほか、今後長期的には人口不足による、高齢者労働力の活用が必須ともいえます。
ホンダでは、人件費全体を増やさない給与体系の再構築との合わせ技で定年延長を実現していますが、労使の協調がないとこうした制度変更はできないため、日ごろの労使の信頼関係の醸成が重要になるでしょう。