「経営者保証に関するガイドライン活用に係る参考事例集」が改訂される

2015年08月11日
法律事務所ホームワン

ホームワン 企業法務チームです

金融庁が取りまとめている,「経営者保証に関するガイドライン活用に係る参考事例集」(平成26年6月公表,同年12月改訂)が平成27年7月31日付けで改訂されました。
同事例集は、金融庁が、各金融機関から成功事例集を出させ、まとめたものです。
同事例集の改訂版については,金融庁ホームページにて公開されています。
http://www.fsa.go.jp/news/27/ginkou/20150731-7.html

成功事例のポイントをいくつか指摘します。
1)法人と経営者の資産・経理が明確に区分・分離されている
 ア.役員報酬
   金額が適正
 イ.取締役会による適切な牽制機能の発揮
   親族以外の第三者から選任された取締役が取締役会に出席
   オーナー企業だが、その親族が取締役に就任していない
   取締役の過半数は、経営者及び親族以外の第三者
 ウ.財産の分離
   法人と経営者の間に資金の貸借がない
   事業用資産は全て法人所有
   事業資産の一部は経営者名義だが適正な賃料が支払われている
   経営者への立替金が近年減少。解消に向けて減少を図る旨の意向表明有り
 エ.監査体制の整備
   公認会計士による監査を受けている。
   中小企業会計基本要領に拠った計算書類

2)支払い能力
  法人のみの資産や収益力で借入の返済が可能
  外部専門会社の検証により、売掛債権の担保適格性を確認し、ABLを活用した例
  
3)リレーションシップの充実
 毎月月初に自発的に前月の営業実績、資金繰り表等を持参
 四半期毎に試算表等を提出
 要求すれば営業状況が把握できる各種資料を提出する等情報開示には協力的

ただ、1項の例として「経営者及び親族による自社株の保有を定款で制限し」とありますが、これは事業承継上、逆に問題ですね。

また、金融機関目線で言うと、
経営者保証を外すことで、企業が財務資料の開示に積極的になった例
メイン行が経営者保証をとっていたが、別の金融機関がABLを活用した無保証融資を行い、取引深耕を図っている例
も紹介されていました。

商工中金の停止条件付保証約款も紹介されていました。
これは表明保証や報告・届出・確約事項を定め,当該義務違反が生じた場合には代表者が連帯保証する旨の契約を予め締結するものです。
1)真実性の表明、保証
 債務者及び代表者が以下の事項が真実に相違ないことを表明保証
  計算書類等が正確かつ適法に作成
  事業が関係諸法令に違反していない
2)財務状況等の報告
 以下の資料を一定の期限までに提出。代表者は資料の真実性を表明保証
 ○ヶ月毎の試算表
 ○ヶ月毎の各取引金融機関からの借入残高の一覧表
 各事業年度の計算書類等
3)報告、届出事項の取決め
  商号、代表者、主たる事務所、役員等の変更
  訴訟、行政手続、その他の紛争等の開始
  財産、経営、業況の重大な変化の発生
4)承諾事項の取決め
 事前承諾がない限り以下の事項を行わない
  減資、合併、会社分割
  重要な資産、事業の譲渡
  経営状況、財務内容に重大な影響を及ぼすおそれのある行為
5)確約事項の取決め
  主たる事業に必要な許認可等を継続すること
  全ての法令を遵守して事業を継続すること

また、会社が特定調停による債務整理を行ったが、これと並行して保証債務について、再生支援協議会スキームによりガイドラインに基づく整理が行われた例も紹介されていました。
ある案件の概要は
 保証人は現代表者、前代表者、専務の3 名。
 保証人の保有する資産は、自由財産の範囲内
 保証人は保有する資産の内容を開示し、その正確性について表明保証
 債務者や保証人と利害関係の無い弁護士がその適正性の検証を行った。
 その後、全金融機関の同意を得て、保証債務388 百万円を免除した。
というものです。