企業法務コラム

初の小規模企業白書が公表されています。

2015年版中小企業白書・小規模企業白書が4月24日公表されています。

小規模企業振興基本法に基づく第1回目の小規模企業白書です。
小規模企業は、製造業その他では従業員20人以下、商業・サービス業では同5人以下の企業です(さらにこの法案では従業員5人以下の「小企業」というカテゴリーも作られています。)。
白書では、第1部で1)小規模事業者の業種構成の分析や、従業者に占める親族の割合、2)小規模事業者の事業者数の推移、3)小規模事業者の販路開拓のための取組や、フリーランスの実態、4)小規模事業者の地域との関わり合いについて分析を行っています。そこからは、小規模企業こそが、経済の主要プレーヤーであることが見えてきます。ただ、個々の企業の経営努力が、対面販売の強化とか、潜在顧客への個別訪問といった、旧来の営業姿勢の延長で終わっており、しかも、それが売上増につながっていないという実態も垣間見えます。経営の好調な企業は、若年労働者の活用、ニーズに対応した商品開発ができているのに対し、不調な企業は、同業他社との競争激化に影響を受け、他方、ニーズにあった商品を提供できていないとの分析結果も出ています。
従業員の新陳代謝を進め、事故の強みを生かした需要の創造、掘り起こしをすることが不可欠であり、そのために「経営計画」策定し、意識改革を進めよ、とこの白書は言っています。

ところで、5月27日が締め切りなのですが、平成26年度補正予算による「小規模事業者持続化補助金」が公募中ですが、これの提出書類の書式を見ると、国の小規模企業施策の意図が見えてきます。
補助金をもらうには経営計画書、補助計画書を出す必要があるのですが、いずれもA4の用紙1枚の簡単なものです。経営計画書には、1)企業概要、2)顧客ニーズと市場の動向、3)自社や自社の提供する商品・サービスの強み、4)経営方針・目標と今後のプランの4項目を、それぞれ8行くらいを書かせるだけ。補助事業計画書には、1)補助事業で行う事業名を30字以内、2)補助事業の具体的内容を3行、3)補助事業の効果を3行書かせるだけです。
要は「社長さん、簡単なもので良いから、市場ニーズがどこにあり、自社の強みを、どうやって発揮するかを、頭を使って一度考えてみてください。それができたらご褒美に補助金をあげますから。」ということです。補助事業の支援が目的と言うより、業績改善のためのマインド作りが目的なわけです。
ですから、私たち認定支援機関も「うちに任せれば全部作ってあげますよ。」なんてことはしません。社長本人に頭を使って考えて貰うことが目的なのですから。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2015年05月15日
法律事務所ホームワン