企業法務コラム

改正社労士施法、施行される

2014年11月、社会保険労務士法改正案が可決成立し、4月1日から施行されています。
改正点の第1が、ADR組織である社労士会労働紛争解決センターにおける、特定社会保険労務士が代理することができる紛争の目的の価額の上限が、60万円から120万円に引き上げられたことです。全国社労士連合会は、撤廃をと要望していましたが、結局120万円で落ち着いたようです。
解雇無効確認、従業員の地位確認、雇用関係存続確認などの紛争の価額は160万円とされるため、こうしたものは従前通り、本人が申立てるか、弁護士に代理人を依頼するしかないことになります。
改正点の第2は、補佐人制度の創設です。社労士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができることとされました。このため、社労士は、労災保険に関する審査請求、再審査請求を代理人で行えますが、請求が認められず行政訴訟となった場合、今までは弁護士に全てを依頼しなければなりませんでした。それが今回の改正で、弁護士に依頼し且つ補佐人として自ら出廷し意見を陳述することができるようになったのです。また、労働局紛争調整委員会や労働紛争解決センターでのあっせんが不調に終わった場合に、労働審判や裁判に移った時も同様です。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2015年05月07日
法律事務所ホームワン