最高裁でJASRAC敗訴

2015年05月01日
法律事務所ホームワン

テレビやラジオの放送では膨大な数の楽曲が日常的に利用されることから,放送局とJASRACとの間では,JASRACの管理楽曲の全てについてその利用を包括的に許諾する利用許諾契約が締結されています。しかし、使用料については,1曲1回の放送でいくらという決め方(個別方式)だけでなく、年間の放送事業収入の1.5%を当該年度の使用料としています(包括方式)。しかし、1曲1回ごとの単位使用料が6万4000円(全国放送における利用時間5分ごとの金額)高額なため、どこの局も包括方式で契約しています。
これに対し、同じく楽曲著作権を管理する株式会社イーライセンスが、このような使用料の取り決めは独禁法2条5項にいう「他の事業者の事業活動を排除」する行為に該当するとして、公取委に訴えました。公取委もいったんは、かかる総額料金方式は同条項に違反するとして、排除措置命令を出したのですが、結局、その後、本件排除措置命令を取り消す旨の審決をしました。納まらないのがイーライセンスです。その1ヶ月後には、東京高裁に審決取消訴訟を提起、高裁はイーライセンスの主張を認める判決をしたため、JASRCが上告、その判決が4月28日に最高裁で出ました。
最高裁は次のように判示し公取委の審決を取り消しました。要するにJASRACが
敗訴したのです。
本件行為が独占禁止法2条5項にいう「他の事業者の事業活動を排除」する行為に該当するか否かは、本件行為につき、自らの市場支配力の形成、維持ないし強化という観点からみて正常な競争手段の範囲を逸脱するような人為性を有するものであり、他の管理事業者の本件市場への参入を著しく困難にするなどの効果を有するものといえるか否かによって決すべきものである。」
そして、JASRACが現状独占的地位を占めていることを指摘し、このような状態で、放送局としては、どの曲を何回使うかによって使用料が変わらないし、番組に使用する楽曲はこれでなければならないというものでもないため(最高裁は「代替的な性格」と表現)、JASRACが管理する楽曲とは別にイーライセンスの管理する楽曲を使うことはおおよそ考えられない。このような包括的な料金徴収のシステムは「他の管理事業者の本件市場への参入を著しく困難にする効果を有するものというべきである。」。

※参照
裁判所ホームページ
平成27年4月28日 最高裁第三小法廷

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹