相続した株式の株主権行使には、共同相続人の過半数の賛成が必要

2015年02月24日
法律事務所ホームワン

会社法106条は、「株式が二以上の者の共有に属するときは,共有者は,当該株式についての権利を行使する者一人を定め,株式会社に対し,その者の氏名又は名称を通知しなければ,当該株式についての権利を行使することができない。ただし,株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は,この限りでない。」と規定しています。この条文の解釈をめぐって2月19日に最高裁判決が出ました。

判決の事案は、次の通りです。
特例有限会社たるX社が発行する3000株中、2000株をA、1000株をBが保有していたが、Aが死亡。
Aの相続人たる甲と乙が法定相続分どおり2分の1ずつ共同相続した(株式の準共有が成立)。
X社の臨時株主総会において、乙は単独で2000株全部について議決権を行使し賛成し、Bも議案に賛成したため、議案が成立した。
甲は、本件総会に先立ち、X社に対し、本件総会には都合により出席できない旨及び本件総会を開催しても無効であると通知していた。
甲は、X社を被告として、本件総会決議の取り消しを求め、訴訟を提起した。
これに対し、X社は、X社が乙の議決権行使に同意した以上、会社法106条但書により、当該議決権行使は有効であり、総会決議も有効と主張した。

最高裁は「共有に属する株式について会社法106条本文の規定に基づく指定及び通知を欠いたまま当該株式についての権利が行使された場合において,当該権利の行使が民法の共有に関する規定に従ったものでないときは,株式会社が同条ただし書の同意をしても,当該権利の行使は,適法となるものではないと解するのが相当である。
そして,共有に属する株式についての議決権の行使は,当該議決権の行使をもって直ちに株式を処分し,又は株式の内容を変更することになるなど特段の事情のない限り,株式の管理に関する行為として,民法252条本文により,各共有者の持分の価格に従い,その過半数で決せられるものと解するのが相当である。」として、甲が明確に反対の意思を表明していた以上、準共有株式について議決権と行使することについて過半数の同意は無いため、本件議決権行使は不適法であり、本件決議も、「決議の方法が法令に違反する」として決議は取り消されるべきと判断したのです。

要するに、上記案件では、2000株を共有する甲乙が反目するとこれについての議決権行使ができず、たった1000株の株主であるCの意向で総会決議が左右されることになってしまいます。ですから、社長さんは、持ち株について、誰に相続させるか明確に遺言を残しておかなければならないのです。

※参照
平成27年2月19日 最高裁判所第一小法廷判決

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹