厚労省がマタハラに関し新通達

2015年02月19日
法律事務所ホームワン

男女雇用均等法9条3項は「事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと(略)を理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」としていますが、実際には出産を機に退職を勧奨されたり、正社員に戻れなかったりすることが多いのが実態です。

この点に関し、2月17日付日経朝刊に「マタハラ 企業に厳しく」との見出しで、厚労省がマタハラ防止の新通達を出したとの記事がありました。昨年11月の最高裁マタハラ判決を機に、従前の「男女雇用機会均等法解釈通達」、「育児・介護休業法解釈通達」の内容を改訂したのです。この新通達は、1月23日に出されています。

新通達のポイントは次の通りです。
妊娠・出産等の事由を「契機」として不利益取扱いが行われた場合は、原則として、均等法9条3項の、妊娠、出産したことを理由として不利益取扱いがなされたものと解する。
ただし、以下の意味において「特段の事情」ないし「労働者の承諾」があった場合は、9条3項違反とはならない。

特段の事情
① 円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障があるため当該不利益取扱いを行わざるを得ない場合において、
② その業務上の必要性の内容や程度が、9条3項の趣旨に実質的に反しないものと認められるほどに、当該不利益取扱いにより受ける影響の内容や程度を上回ると認められる特段の事情が存在すると認められるとき

労働者の承諾
① 契機とした事由又は当該取扱いにより受ける有利な影響が存在し、かつ、当該労働者が当該取扱いに同意している場合において、
② 当該事由及び当該取扱いにより受ける有利な影響の内容や程度が当該取扱いにより受ける不利な影響の内容や程度を上回り、当該取扱いについて事業主から労働者に対して適切に説明がなされる等、一般的な労働者であれば当該取扱いについて同意するような合理的な理由が客観的に存在するときについてはこの限りでないこと。

なお、何を持って「契機として」と言えるかですが、基本的に「当該事由が発生している期間と時間的に近接して当該不利益取扱いが行われたか否か」をもって判断すること、とされ、時間的な接着性があればいいとされました。例えば、当該企業において、定期的に人事考課・昇給等が行われている場合、直近の人事考課・昇給の機会までの間に不利益評価が行われれば「契機として不利益取扱が行われた」と判断されることになります。

育児休業法においても、同様の判断基準で対処するとなっています。
これを見る限り、よほどのことがない限り、妊娠ないし出産を機に、人事上不利益な取り扱いをできないことになります。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹