企業法務コラム

有期雇用特別措置法 省令等概要固まる

平成25年4月の「改正労働契約法」によれば、同年4月1日以降に有期労働契約を締結した従業員が5年を経過し、次の契約の際に無期契約を希望した場合(無期転換申込権)、企業はそれを拒むことができないことになりました。
しかし、この例外事項を定める、有期雇用特別措置法(専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法)が、昨年成立し、今年の4月1日から施行されます。
この法律により、次の従業員については、5年ではなく10年まで無期転換させなくて良いということになりました。
(1)高度な専門的知識を有し、一定の収入を得て、専門的職務についている有期雇用労働者
(2)60歳の定年後に有期契約で継続雇用される高齢者

ただし、法の施行のためには、これを具体化する施行規則、省令等が必要になります。2月9日、施行規則案、省令の要綱案について、労政審が妥当と答申しました。
同要綱の内容を以下説明します。

まず上記の(1)についてですが、年収1,075万円以上の高度専門職労働者が対象となります。
ここでいう高度専門職には次の職種が該当します。ただし、この制度を導入しようという事業者は、厚労省令で定めるところにより、高度専門職の特性に応じた雇用管理に関する措置についての計画(第一種計画)を作成し、厚労相認定を受ける必要があります。
1 博士
2 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士または弁理士
3 ITストラテジスト、アクチュアリーの資格試験に合格者
4 特許発明の発明者、登録意匠の創作者、登録品種の育成者
5 大学卒で5年、短大・高専卒で6年、高卒で7年以上の実務経験を有する農林水産業・鉱工業・機械・電気・建築・土木の技術者、システムエンジニア又はデザイナー
6 システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタント
7 上記1から6までに掲げる者に準ずるものとして厚生労働省労働基準局長が認める者

むしろ、一般企業には(1)より(2)の方が重要でしょう。この改正により、60歳定年後継続雇用の従業員が65歳以降も無期契約を希望した場合でも、有期雇用で雇うことができることになりました。
但し上記の(2)の制度を導入しようという事業主は、高齢者の特性に応じた雇用管理に関する措置についての計画(第二種計画といいます。)を作成し、これを厚生労働大臣に提出して、認定を受けることが条件になっています。計画事項として次の項目が規定されています。
1 高年齢者雇用安定法第11条の規定による高年齢者雇用推進者の選任
2 職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等
3 作業施設・方法の改善
4 健康管理、安全衛生の配慮
5 職域の拡大
6 知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進
7 賃金体系の見直し
8 勤務時間制度の弾力化

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2015年02月10日
法律事務所ホームワン