企業法務コラム

ベネッセ顧客情報流出で集団訴訟

通信教育大手のベネッセコーポレーション(岡山市)の顧客情報流出事件で、全国の1789人が29日、同社などに1人あたり5万5千円、総額約9800万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

※参照
2015年1月29日 朝日新聞
ベネッセ情報流出で1789人提訴 金券配布「不十分」

(評)
同社から流出した個人の情報は、氏名、性別、生年月日、続柄、郵便番号、住所、電話番号、さらには、一部の登録者についてはファックス番号、出産予定日、メールアドレスといったもののも含まれています。
同社はおわびとして1件あたり金券500円分を配るとするなどの対応をとりましたが、これで十分だと満足している人は少ないでしょう。ただ、こうした個人情報流出についての過去の裁判例を見ると、おおよそではありますが、1万~1万7000円、有害メール等の2次被害が発生すれば3万円といったところです。
金額としてはそんな大きくありませんが、それでも、500円という金額は低いとしかいいようがありません。それでも、被害者からすれば「裁判しても費用倒れだから、500円でも貰っておいた方が得。」と考えがち。
そのため、こうした集団訴訟という形が取られる訳です。
弁護士が、被害者を集客すると、懲戒になる可能性があり(こういったルールには反対ですが)、通常は「被害者の会」を立ち上げ、被害者の会が弁護士を依頼するという形をとることになります。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2015年01月30日
法律事務所ホームワン