企業法務コラム

食品効能の表示 消費者庁に根拠データ届ければ許可不要

実験データなどの根拠を届ければ国の許可なく食品の効能を表示できる新制度について、
内閣府消費者委員会は10日までに、了承する答申をした。
新制度は、栄養ドリンク(医薬品を除く)やサプリメントを含む全食品で実験データや論文などの根拠を消費者庁に届ければ、国の許可を得ずに「肝臓の働きを助けます」「目の健康をサポートします」といった表示ができる。
消費者委は10月、新制度導入の是非について諮問を受けた。
消費者庁は答申を踏まえてガイドラインを定め、来春制度を導入する。

※参照
2014年12月10日 日本経済新聞 夕刊
食品の効能表示を了承 内閣府委、行政の態勢強化求める

(評)
「薬事法」が改正で「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律」に名前が変わったのは、このトピックでもお知らせした。薬事法はが新法に代わっても、飲料品、サプリメント等が医学上や健康上の効用をうたうことは、許されていない。
例外が「トクホ」こと「特定保健用食品」。健康食品のうち、安全性と有効性について個別に国の審査を受けて、健康への効果の表示が認められる。当初は厚生労働省が審査していたが、03年7月に食品安全委員会ができ、現在は同省が同委員会に安全性評価を依頼、その結果を受けて同省が審査している。
トクホの承認を得るには臨床試験を経るなど多額の費用がかかり、中小企業では対応できない。そこでできたのが機能性表示制度だ。上記にいうデータには、当然客観性が求められる。体に効果をもたらす成分の特定を求め、その成分を含む最終製品を使った臨床試験が難しい場合は、有効性を検討した査読付の論文が十分あり、肯定的な結果があるなどの研究レビューを示すなどの必要がある。
消費者庁は、商品の販売後、新制度に基づいた表示かどうかを調べるため、商品を買い上げて専門機関で分析する予定だという。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2014年12月25日
法律事務所ホームワン