企業法務コラム

障害者雇用進む 民間企業で前年比5.4%増

厚労省は11月26日付で平成26年の「障害者雇用状況」集計結果を公表した。民間企業部門では、雇用障害者数、実雇用率ともに過去最高を更新。雇用障害者数は 43万1225人で、前年比で5.4%(22,278.0人)の増加。実雇用率は1.82%で、前年比0.06%増加となった。 法定雇用率達成企業の割合は 44.7%(前年比2.0ポイント上昇) となっている。

(評)
障害者雇用促進法では、事業主に対し、常時雇用する従業員の一定割合(法定雇用率、民間企業の場合は2.0%)以上の障害者を雇うことを義務付けている。今回の集計結果は、同法に基づき、毎年6月1日現在の身体障害者、知的障害者、 精神障害者の雇用状況について、障害者の雇用義務のある事業主などに報告を求め、それを集計したもの。
同法は13年に改正され、以下の点が変更となった。

1.障害者に対する差別の禁止
2.合理的配慮の提供義務
事業主に、障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置を講ずることを義務付ける。
ただし、当該措置が事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなる場合を除く。
3.法定雇用率の算定基礎の対象に、新たに精神障害者(発達障害を含む)を追加
施行期日:1、2は平成30年4月1日。3は平成30年4月1日。

(参考)
障害者の雇用の促進等に関する法律(施行前)
第37条
すべて事業主は、身体障害者又は知的障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、適当な雇用の場を与える共同の責務を有するものであつて、進んで身体障害者又は知的障害者の雇入れに努めなければならない。

同法(施行後)
第36条の2
事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となつている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。

第36条の3
事業主は、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となつている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。

第36条の4
1.業主は、前2条に規定する措置を講ずるに当たつては、障害者の意向を十分に尊重しなければならない。
2.業主は、前条に規定する措置に関し、その雇用する障害者である労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

第37条
全て事業主は、対象障害者の雇用に関し社会連帯の理念に基づき、適当な雇用の場を与える共同の責務を有するものであつて、進んで対象障害者の雇入れに努めなければならない。

※「身体障害者又は知的障害者」が「対象障害者」に代わった。対象障害者は精神障害者を含む概念。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2014年12月01日
法律事務所ホームワン