道路拡幅で財産権制限 杉並区審議会

2014年11月13日
法律事務所ホームワン

「東京都杉並区が狭い道路を拡幅するため検討している道路整備について、…法律の専門家らによる区の審議会は28日、財産権の一部を制限して私有地を道路として使うのは可能との見解を示した。」「杉並区が拡幅を進める道路は幅4メートル未満の「狭あい道路」。区は狭あい道路の「拡幅整備条例」を制定しているが、拡幅部分に花壇や自転車などを置いているケースが少なくない。現在は区に花壇など障害物を撤去して道路整備を進める権限はない。

※参照
2014年10月29日 日本経済新聞
道路拡幅で財産権制限 杉並の審議会、私有地利用容易に

(評)
建築基準法上、原則、建物の敷地が幅員4メートル以上の道路に接していないと建築は認められない。これを接道義務という。しかし、昔からの住宅地は、そういった規制前に街並みができてしまっているため、4メートル未満の道が多い。そうなると、沿道の建物がほとんど建替えが認められないことになってしまう。このため建築基準法42条2項は、道路の中心線から2メートルの線を両側に引き、このセットバックした線を道路の境界線とみなすことによって、建替えを認めている。そうして、今ある建物はそのまま存続させてよいが、将来建て替えするときはセットバックした線の中でやりなさい、としたのである。先人の優れた知恵と言っていいだろう。
しかし「上に政策あれば、下に対策あり」だ。例えば、建て替えとなるとセットバックしなければならないため、柱を旧建物の一本でも残し「これは新築ではなく、改築だ」と主張しセットバックしないケースもあるし(その主張が裁判所で通るかは保証の限りでないが)、セットバックはするが「家を建てることはできなくとも、物はおけるはずだ」として、セットバックした土地に植木鉢や車を置いたりする。上記条例は後者のケースに対処しようというものである。
刑法124条に往来妨害罪というものがあるが、警察に言ってもなかなか動いてくれないのが現状である。

(参考)
建築基準法第42条2項本文
この章の規定が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員4メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離2メートル(略)の線をその道路の境界線とみなす。

刑法第124条
陸路、水路又は橋を損壊し、又は閉塞して往来の妨害を生じさせた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹