企業法務コラム

東京高裁 足ふきマットによる店頭で、設置店舗に賠償責任

東京高等裁判所が平成26年3月13日付判決で、銀行の店舗出入口に敷設された足拭きマットの端に右足を乗せたところこれが右足を乗せたまま中央部に向かって横ずれしたためバランスを崩した顧客が転倒して負傷した事故について銀行の注意義務違反を認め、不法行為責任を否定した原審を取り消し、4割の過失相殺をした損害額の支払を命じたことが分かった。

※参照
判例検索サービス「判例秘書」

(評)
私の老母も、某銀行店舗の足ふきマットで、同じような経験をした。幸い事なきを得たが、次に同店舗前を通った時には撤去されていた。足ふきマットを使うのは止めた方がいいかもしれない。少なくとも店舗総合保険には必ず加入するようお勧めする。
他にも次のような判例がある。

東京地判平成13年11月27日:大型店舗内の通路で顧客が転倒して受傷した事故で油、水等が通路に付着し滑り易くなっていたとしてビルの保存の瑕疵を認めた(過失相殺0割)

大阪高判平成13年7月31日:コンビニ店で顧客が濡れた床に滑って店頭して受傷した事故で、安全管理上の責任を認め、被害者が両手に荷物を持ち靴底が減って滑り易くなった靴を履いていたことから5割を過失相殺

札幌地判平成11年11月17日:大規模小売店外階段で雪が凍った氷に足をとられて転倒し、受傷した事故で、階段に設置したロードヒーティングの温度管理義務違反を肯定し、5割を過失相殺

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2014年10月06日
法律事務所ホームワン