「名ばかり専務」労災認定

2014年09月12日
法律事務所ホームワン

「神奈川県大和市の物流業アズマインターナショナルの元専務で、2011年6月に自殺した男性(当時54)について、厚木労働基準監督署が、パワハラ過労によるうつ病が原因として労災認定したことが5日、分かった。(事件を担当した弁護士によると)男性は09年に専務になったが、実態は社長の指示に従って事務作業を行うなど「名ばかり専務」だった。~11年5月に部下の不正経理問題があり、社長からメールで「ばか」「アホ」とののしられたほか、同年6月になって自殺を図ったことを社長に伝えた際には、包丁を突きつけられ「死ね」などと言われたという。男性はその3日後に自殺。~男性の手帳から自殺前の半年間に、月100時間を超える残業が3回あったことが判明。月2回ほどは会社駐車場の車の中で未明に仮眠を取る状況が続いていた。~厚木労基署は、11年5月下旬にうつ病を発症したと認定」したという。

※参照
2014年9月6日 日本経済新聞
「「名ばかり専務」で過労 自殺男性に労災認定 社長にパワハラ受ける」

(評)
日本マクドナルド事件で問題になった「名ばかり店長」は、労働基準法41条が労働時間規制の例外とする「監督若しくは管理の地位にある者」にあたるかという問題であるが、この「名ばかり専務」は、そもそも「労働者」かが問題になる。上記労災認定は、専務の労働者性を認め、労災認定をしたという点で画期的だ。
厚労省の定める「心理的負荷による精神障害の認定基準」では、「過去2ヶ月間に月約120時間以上」ないし「過去3ヶ月間に月約100時間以上の時間外労働」の結果、うつ病になった場合には労災が認定される。労働基準局長通達「脳血管疾患及び虚血性心疾患の認定基準について」によると、「発症前1ヶ月間におおむね100時間、又は、発症前2ヶ月間ないし6ヶ月にわたって1ヶ月80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できる」としている。
時間外労働80時間以上黄色信号、100時間以上は赤信号と考えた方が良い。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹