不当解雇 金銭補償で解決

2014年08月29日
法律事務所ホームワン

厚生労働省は、解雇トラブルに関する実態調査に着手し、「解雇を無効とする判決の際、労働者が希望すれば職場に戻る代わりに補償金を受け取れるようにする」ための法改正に向け動き出した。
「労働政策審議会で詳細を詰め、早ければ16年の通常国会で関連法の改正を目指す。」「年収の1~2年分を補償金としている海外の相場を軸に制度の枠組み作りが進む見通しだ。」

※参照
2014年8月24日 日本経済新聞朝刊 
「不当解雇金銭補償で解決、政府が検討着手 年収1~2年分、主要国と足並み 労使とも反発強く」

(評)
平成25年度の個別労働紛争相談の内訳は、「解雇」が43,956件と全体の14.6%を占める。解雇は問題が先鋭化しがちで、訴訟まで行かないと解決できない場合が多い。
しかし、解雇無効を争う労働者も、本音では「このまま解雇無効となって職場に戻れても嫌な思いをするだけ」と考え、実際は金をもらって辞めることを考えているということも多い。
そのため「裁判に勝って会社に残れと言われても、逆に困る。」と考えて、和解で解決する例も多かった。そうした場合、従業員は解雇に応じるが、給与の6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月といった金額を会社が支払う、といった和解になる。しかし、とことん争って不当解雇となっても、お金をもらって会社を辞められるとなると、逆に和解での解決はしにくくなり、紛争が長期化する可能性もある。
補償金の目安が年収の1~2年分というのは、中小企業にとっては脅威だ。従業員100人の会社なら、1人解雇にしても、人件費の負担が100分の1増えるだけだが、従業員5名の会社だったら、人件費の負担が2割も増えることになる。
ところで、今回厚労省が考えている制度は「本来解雇は許されないが、労働者にあらかじめ一定額の金銭を渡せば、正当な解雇と認められるようにする」といった制度とは全く異なる。この仕組みの場合「金を払えば自由に解雇できる」ことになるため、安部首相は「検討しない」と明言している。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹