中国景気、昨年から減速 内閣府試算「李克強指数」が低下

2014年06月13日
法律事務所ホームワン

この李克強指数なるものの名付け親は英エコノミスト誌。李克強首相は2007年に遼寧省党委員会書記に就任していた際、政府の発表するGDPは信用できないので、自分は電力消費量、鉄道輸送量、銀行融資の3つの指標により、遼寧省の当時の経済状況を判断していると言った。この3つを掛け合わせたのが李克強指数だ。
内閣府は、李克強指数を独自に計算し、その分析結果を「世界経済の潮流」(世界経済白書)で明らかにした。同指数は昨年10月に10.6というピークに達したが、昨年11月以降、今年3月まで5カ月連続で低下し、3月の指数は5.1となり、前月比で1.1ポイント低下となっている。

2014年6月8日 日本経済新聞 朝刊
「中国景気、昨年から減速 内閣府試算「李克強指数」が低下」

(評)
中国は、不動産バブル、過剰生産、シャドーバンキングという3つの地雷を抱え、これら3つは相互に関連している。この1つで爆発すれば、他の2つも誘爆する。中国経済がハードランニングするとなると、ギリシャ、スペイン、イタリアの比ではない。最悪のシナリオだからこそ、多くのエコノミストは「そんなことにはならない」と言い続けている。その論拠は、中国政府の財政が健全であること、指導層が優秀であることにあるが、果たしてどうか。中央政府は確かに健全財政かもしれないが、地方政府はどうか。指導層が優秀であっても、政治的環境によって政策の手段は限られる。国有企業を淘汰しようとすれば既得権層が黙っていないし、共産党政権への批判を和らげようとすれば、国有企業を存続させて、雇用を守らざるを得ない。最近中国の就活中の大学生の希望月給がピークだった11年の5537元から今年は3680元へと、大幅に低下している(6月2日付日経朝刊)、要は高度産業化が進んでいない証左である。
さらに習近平路線になって、公務員の接待費の削減など倹約令が敷かれ、こういった特権層の消費が大幅に落ちている。中国の公務員の給料はそれほど高くない。だから公務員は、賄賂で、給料の少なさを補っている。給料が低いから賄賂をもらうのか、賄賂を貰うから給料は低くても良いということになるのか。これは鶏と卵のようなもので、その意味中国の汚職は構造的といえる。警察、裁判官、教師までが堂々と賄賂を貰うのが中国である。その中で、賄賂は政治的文化であり、こうした賄賂が国内消費の1割を占めているという話がある。従って、公務員の賄賂がなくなると、消費が大きく落ち込むことになる。かつて毛沢東は紅衛兵を使って政敵を葬ったが、毛沢東とスターリンを尊敬するという習近平は、汚職追及という武器で自己の政治的立場の弱さを補っている。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹