マタハラ、セクハラ、パワハラ 連合調査公表される(1)

2014年06月10日
法律事務所ホームワン

連合(日本労働組合総連合会)が在職中の20~40代の女性にインターネットで、マタハラ、セクハラ、パワハラについてのアンケート調査を実施した(回答者634人)。
以下はその結果が6月5日に公表された。

※参照
連合ホームページ
「第2回 マタニティハラスメント(マタハラ)に関する意識調査」

◆「マタハラ」という言葉を知っている
・言葉も知っており、意味も理解している 35.3%(昨年6.1%)
・言葉は知っており、意味も少しだけ知っている 27.9%(昨年14.4%)

◆自分が「マタハラ被害者」 26.3% (昨年25.6%)、周囲に「被害者」 27.3%(昨年23.2%)

◆マタハラの具体的内容
・妊娠中や産休明けなどに、心無い言葉を言われた10.3 %
・妊娠を相談できる職場文化がなかった8.2%
・妊娠・出産がきっかけで、解雇や契約打ち切り、自主退職への誘導などをされた5.6%
・妊娠中・産休明けに残業や重労働などを強いられた4.7%
・妊娠中や産休明けなどに、嫌がらせをされた3.1 %
・妊娠・出産がきっかけで、望まない異動をさせられた2.8%
・妊娠・出産がきっかけで、給料を減らされた2.2 %

◆マタハラを改善する方法
・企業内での制度整備と、企業の理解促進 51.9%
・育児に携わった女性の管理職・経営陣への登用 51.1%
・男性の育児参加制度整備や空気づくり38.0%
・育児に携わった男性のマネジメント・経営陣への登用37.4%

(評)
マタハラと聞いて「何?」という人もいるだろう。「マタハラ」とは「マタニティハラスメント」のこと。働く女性が妊娠・出産を理由として人事で不利益な扱いを受けたり、職場で受ける精神的・肉体的なハラスメントのことをいう。連合の調査では、妊娠経験のある女性労働者の4人に1人が「マタハラを受けたことがある」という。働きながら妊娠・出産・子育てをするための権利は、労働基準法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法によって守られているが、社会がまだ追いついていない日本の現状が、このような結果を生んでいる。
上記アンケートの改善策として何が考えられるか、との問いに対して、企業内の制度整備と理解促進と、女性の管理職・経営陣への登用を求める声が半数以上あった。
日本で、会議中に女性従業員が「子どもが熱を出したので早退したい」と言ったらどうなるだろう。同僚や取引相手から「いま会議中だろう、会議が終わってからにしたらどうか」と言われてしまうのではないか。というより、そのような発言をできない雰囲気がある。しかし、女性管理職が43%もいるアメリカでは全く違う。SAPジャパンで人材開発を担当する佐藤順子氏はアメリカでの体験を次のように語っている。
「私がアメリカに出張した際、あるミーティングの主催者が女性のマネジャーだったのですが、始まる直前になって『旦那が子どもを迎えに行けなくなったから、後はよろしくね』と言って帰ってしまったんです。周囲も当然のように、『OK、行ってらっしゃい』と送り出してあげていて、日本とのギャップに驚いた覚えがあります。」

※参照
2013年11月20日 ウーマンタイプ
「女性管理職はなぜ増えない? 働く女性の心理と日本のカルチャー」

社内で、制度としては育児休暇等があっても、実際の運用ではなかなか進まないのは、やはり意識の問題だ。その意識を育てるには、女性が管理職や役員になる必要がある。
昨年4月、安倍首相が経済界に対して、全上場企業において積極的に役員・管理職に女性を登用する、まずは役員に1人は女性を登用するよう求めた。安倍首相は、今年1月のダボス会議でも「2020年までに、指導的地位にいる人の3割を、女性にします」と発言し、国際的公約にまでなった。そして、この数値目標は昨年6月の成長戦略にも盛り込まれたのである。
内閣府の2013年度版 男女共同参画白書によると、日本の女性管理職の比率は11.1%。アメリカの43%、フランスの38.7%などと比べると、かなり低い数字だ。
OECDの調査(2009年時点)によると、取締役会に占める女性の平均比率は、OECD平均は9.8%だが、日本は3%台にすぎない(ドイツもほぼ同水準)。だからこの目標数値は、相当野心的な数値といえるし、無理に女性の管理職を増やせば、企業の成長性を損なう、という反対論もある。
女性管理職の登用は、マタハラ、セクハラの防止に効果的だが、それだけではない。
女性としての感性が仕事に寄与することもあろうし、女性の長所でもあるコミュニケーション能力は、社内のギスギスを改善し、生産性を高める効果もあるのではないか。会社が相手にしているのは、社会であり、社会と同様のダイバシティーが社内で確保される必要がある。消費者の半数は女性だし、商品購入の決定権を持っているのは多くは女性なのだから。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹