韓国特許庁 新日鉄住金の特許は無効とのポスコの主張を認める

2014年02月25日
法律事務所ホームワン

韓国の鉄鋼最大手ポスコが、方向性電磁鋼板に特許の製造技術についての新日鉄住金の関連特許4件は無効とした申し立てで、韓国特許庁は2月17日「すでに知られている技術と同じか類似で、特許として認められない」として、新日鉄住金の特許を認めない判断を下した。

(評)
方向性電磁鋼板とは、変圧器に広く利用される特殊な鋼板。高機能の電磁鋼板の生産規模は世界で年間約100万トン程度に上り、新日鉄はシェア約3割を占めるが、ポスコも2004~05年ごろから急激に品質を向上させ、現在のシェアは約2割に達する。この技術は旧新日鉄が何十年もかけ、開発費用も数百億円という虎の子の技術だが、ポスコがわずかの間に開発に成功した。
ところが2007年に事態は新展開を見せる。ポスコ元社員が中国メーカーに方向性電磁鋼板の技術を流出させ、逮捕された。この元社員は裁判の中で「流出した技術はポスコのものでなく新日鉄の技術」と主張。裁判では今回の新日鉄元社員の名前も登場したことから、新日鉄が証拠保全手続きで元社員の保有する資料を押さえた。
新日鉄住金は2012年4月、自社の方向性電磁鋼板に関する営業秘密と特許をポスコ が侵害したとして、米ニュージャージー州の裁判所と東京地裁に提訴。これに対し ポスコは、韓国と米国の特許当局に特許の無効を申し立てた。
知財戦略は難しい。特許をとれば、その技術が公開されるため、こっそり技術をパクられることを防げない。かといってノウハウとして秘匿していても、いざ盗まれてしまえば特許の保護がないために訴えることが難しくなる。本件をみると、特許により公開された技術と、特許化しなかったノウハウの二つを合わせて、方向性電磁鋼板を製造していたものと思われるが、ノウハウとしてブラックボックス化していた部分も盗まれてしまったのだからどうしようもない。
なおポスコは、日本政府が資金を提供し、新日鉄とJFEスチールが技術を提供して作られた国立浦項製鉄所が前身だ。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹