企業法務コラム

中国でも徴用工損害賠償請求訴訟の動き

中国人被害者や遺族が三菱マテリアルなど日本企業数社を相手に集団訴訟を北京や山東、河北両省などの裁判所で提訴する計画であることが判明した。請求内容は、1)強制連行を認め謝罪、2)すべての被害者側への賠償、3)慰霊・祈念碑を日本国内に建立-を求めるというもの。日本の計約20社が対象となる大規模訴訟に発展する可能性もあるとされる。

※参照
2014年1月16日 msn産経ニュース
「中国でも日本企業に集団訴訟計画 強制連行被害者ら賠償要求」

(評)
日中国交正常化をうたった1972年9月の共同声明は「中国政府は日本国に対する戦争賠償の請求を放棄する」と規定している。しかし同じような協定のある韓国では、元徴用工への損害賠償を命じる判決が続いている。中国の裁判もこれにならったものだ。徴用工問題について、政府が明確な態度をとらずに放置してきたことが、こうした事態を現出させたと言えるかもしれない。
こういった政治的色彩の濃い訴訟の判決には、中国政府=中国共産党の意向が100%反映される。三菱マテリアル広報・IR部は「国を抜きに解決はない」との立場を示しているが、まさにその通りだろう。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2014年02月06日
法律事務所ホームワン