最高裁 添乗員にみなし労働時間制の適用を否定

2014年01月30日
法律事務所ホームワン

最高裁判所第二小法廷は、平成26年1月24日、募集型の主催旅行(パック・ツアーのこと)の添乗員の業務につき、労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たらないとする判決を出した。

※参照
原審判決は平成24年3月7日付東京高裁判決
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140124142902.pdf

(評)
外回りの営業のように事業場外でなされる業務は、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間の算定が困難だ。このため、労働時間をみなし制により算定することができる制度がある。
みなし制を適用されるための要件は、1)事業場の外で労働がなされることと、2)労働時間を算定しがたいことである。特にこの第2の要件がしばしば問題となる。本件最高裁判決もこの点に関する判決だ。
通達(昭63.1.1基発1号)によれば、1)外で業務を行う従業員グループの中に時間管理者がいる場合、2)携帯電話により随時使用者の指示を受ける場合、3)訪問先や帰社時刻などにつき具体的な指示を受けてその指示どおりに業務を行い、その後事業場に戻る場合は、使用者の具体的な指揮監督や時間管理が従業員に及んでいる場合は、「労働時間が算定しがたい」とは言えない、とされている。
最高裁は、以上の事実から、本件添乗業務については、添乗員の勤務の状況を具体的に把握することが困難であったとは認め難く、労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえないとし、みなし労働時間の適用を認めなかった。
1)ツアーの開始前には、本件会社は、添乗員に対し、契約内容等を記載したパンフレット、最終日程表、手配状況を示したアイテナリーにより、業務の内容、手順等を示すとともに、マニュアルにより具体的な業務の内容を示し、これらに従った業務を行うことを命じている。
2)ツアーの実施中においても、本件会社は、添乗員に対し、携帯電話を所持して常時電源を入れておき、ツアー参加者との間で契約上の問題やクレームが生じ得る旅行日程の変更が必要となる場合には、本件会社に報告して指示を受けることを求めている。
3)ツアーの終了後においては、本件会社は、添乗員に対し、前記のとおり旅程の管理等の状況を具体的に把握することができる添乗日報によって、業務の遂行の状況等の詳細かつ正確な報告を求めているところ、その報告の内容については、ツアー参加者のアンケートを参照することや関係者に問合せをすることによってその正確性を確認することができるものになっている。
4)本件添乗業務について、本件会社は、添乗員との間で、あらかじめ定められた旅行日程に沿った旅程の管理等の業務を行うべきことを具体的に指示した上で、予定された旅行日程に途中で相応の変更を要する事態が生じた場合にはその時点で個別の指示をするものとされ、旅行日程の終了後は内容の正確性を確認し得る添乗日報によって業務の遂行の状況等につき詳細な報告を受けるものとされている。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹