雇用保険法改正案固まる(2・評)

2014年01月20日
法律事務所ホームワン

労働政策審議会は、平成26年1月16日、雇用保険の育児休業給付の充実や教育訓練給付の拡充などを盛り込んだ法律案要綱をおおむね妥当、平成26年度の雇用保険率を現行の1.0%に据え置くことを盛り込んだ告示案要綱を妥当と認め、田村憲久厚生労働大臣に答申した。今回の答申を踏まえ、厚生労働省では次期通常国会に改正法案を提出する予定。変更後の雇用保険率については平成26年4月1日から適用の予定となっている。
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(評)
収入が減るという経済的な理由から育児休業を取得しなかった者が、男女とも一定程度存在するほか、特に、男性の育児休業取得率は平成24年度において2%弱と伸び悩んでいる状況にある。男性の育児休業取得を促進することは、男性のワーク・ライフ・バランスの実現だけでなく、女性の育児負担を軽減し、女性が職場で継続して力を発揮すること(女性の就業率の向上)にも資する。男女ともに育児休業を取得していくことを更に促進するため、育児休業給付の給付率を引き上げることとなったのが上記1項である。

育児休業給付は非課税であり、育児休業期間中には社会保険料免除措置がある。このため、休業前の税・社会保険料支払後の賃金と比較した実質的な給付率は更に高くなることを企業も従業員に十分説明し、育児休業を促進すべきであろう。

昨年6月に閣議決定された日本再興戦略では、非正規雇用者のキャリアアップ・キャリアチェンジのため、自発的な教育訓練等を促す方向で雇用保険制度を見直すこととされていた。2はこの政策に沿うものである。現在、教育訓練給付により、厚生労働大臣の指定する講座について、受講費用の20%を給付しているが、中長期的なキャリア形成に資する教育訓練を受講する場合に限り、これを強化し全期間の受講費用に関する給付率を40%まで引き上げた。給付の期間は原則2年間、資格につながる等の教育訓練に限り3年間とした。昨年12月の雇用保険部会報告では、給付上限額を年80 万円としていたが、今回の答申では48万円に減額された。

また、再就職時の賃金は、離職時よりも低下する傾向があり、その後のキャリアアップにより賃金の上昇は可能であるものの、再就職時点での賃金低下が早期再就職を躊躇させる一因となっているとの現状認識のもと、賃金低下による再就職意欲の低下を緩和し、早期再就職を更に促すべく、改正されたのが3項である。

リーマンショック後、以下の失業等給付の暫定措置があるが、当初期限の延長が続いてきたが、平成25年度末に期限が終了する。雇用の改善は見られるものの、雇止め等による離職者は必ずしも減少傾向にはなく、今年度から施行された改正労働契約法等の非正規雇用労働者対策の状況を考慮する必要もある。個別延長給付については、重点的な再就職支援が真に必要な者に限るとした平成24年度においても、7割程度の者が基本手当受給後の個別延長給付を受給している状況にある。そのため、上記の暫定措置については、引き続き延長するが、個別延長給付の延長に当たっては、重点的な再就職支援が真に必要な者の認定を更に厳格化することとなった(このあたりの議論は金融円滑化法の議論と似ている)。

・雇止め等により離職した有期契約労働者等の給付日数の充実
・個別延長給付
・常用就職支度手当の支給対象者の追加

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹