企業法務コラム

認定支援機関の利用が800件を突破(助成金利用分)

中小企業の経営改善計画づくりを国認定の支援機関が後押しする制度利用が、9月末時点で800件を超えたことが分かった。
計画策定の必要費用の一部を国が助成する「経営改善計画策定支援事業」で、中小企業金融円滑化法終了後の中小支援の目玉施策として2013年3月にスタート。当初スキームが分かりにくく出足は低調だったが、地域金融機関の中には同制度を通じて取引先企業の経営改善に積極的に取り組む動きが広がりつつあり、6月末時点(145件)から急増した。
利用が多かったのは富山県と京都府。富山県では富山信用金庫が地元の中小企業診断協会と提携し、中小企業診断士が事業デューデリジェンスを効率的に実施できる体制を構築し、52件の利用があった。京都では京都信用金庫が地元税理士会と手を組んで制度への共通認識を深めたうえで、経営支援にあたり、51件の利用がある。

(評)
中小企業円滑化法を利用した企業が30万社あるが、5、6万社が正常返済に戻れないでいる。これからすると800件という数字はまだまだ少なすぎる。
本来は「経営改善計画を作ります」といって、1年以内に作れない企業は、支払猶予の延長は認められないのが筋。しかし現在は「暫定リスケ」といって、最終的なものではないが、「一応3年か5年分の経営改善計画のテスト版」みたいなものを作って、しばらくは支払いを猶予してもらうのが、流行っている。
暫定リスケとは、「取りあえず、それで経営改善をやってみて、何ヶ月か、何年かたって目途がついたら、そのとき出てきた数字を元に、初めて正式な経営改善計画書を作ろう」というもの。正式な経営改善計画を作って、それが上手くいかなかった場合(計画値の8割に満たない)は、後戻りができなくなってしまうので、取りあえずは仮のもので勘弁してもらう訳だ。上手くいくかは不明だが、上手く行けばそこで正式な経営改善計画が提出されるし、ダメなら破産、民事再生(収支が赤なら民事再生も無理)となる。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年10月22日
法律事務所ホームワン