木造建物 耐震力に不安

2013年09月11日
法律事務所ホームワン

木造住宅耐震補強事業者協同組合の調査によると、81年新耐震基準以降、00年5月までに着工された木造住宅のうち、84%が現行の耐震基準で「問題あり」となることが分かった。

※参照
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合ホームページ
「耐震補強工事費用と築年数・1階床面積の関係(耐震診断受診者アンケートより)」

(評)
木造建築の場合、X 軸方向、Y軸方向(分かりやすく言えば南北方向、東西方向)のそれぞれで、建築基準法の定める耐震力、耐風力を備えることが必要になる。耐震、耐風力として重要なのが、耐力壁。木造建築物は、接合部分が回転しやすく、柱と梁だけでは地震や風などの水平荷重に抵抗できない。そのため、各階ごとに所定の量の耐力壁(筋交いが入った頑丈な壁)を設置することが義務付けられている。
建物の各階の床面積と外壁面積等から、耐力壁がX方向に何個、Y方向に何個必要ということが法律上決まっている。
ただ、耐力壁は数だけそろっていれば良い訳ではなく、配置が適正になされている必要がある。例えば南北方向に耐力壁が8個必要だとして、その8個全部が北半分に集中して配置されていたとなれば、地震、台風によって建物に大きなねじれが生じてしまう。81年耐震基準では、その点について明確な定めがなかった。00年6月1日の新規準(建設省告示第1352号・平成12年5月23日・木造建築物の軸組の配置の基準を定める件)でようやく「4分割法」といって、X方向、Y方向のそれぞれ端4分の1の個所に耐力壁が必要量配置されることが必要になったのである。
ただ、問題点がない訳ではない、というか、問題点が大ありなのだが、建築確認申請書類では、耐力壁の数の記載個所はあるが、4分割法に従った壁量が確保されているかどうかについては記載個所がない。だから、新規準以降の建物でも、審査対象になっていないため、新規準違反の建物についても建築確認が通ってしまうのである。
役所の審査というのは非常にいい加減で、私が扱ったある例では、建築確認申請書の壁量計算の結果必要とされる壁数が、建築図面では確保されていないのに、堂々と通ってしまっていた。そもそも木造建物の場合、2級建築士と言って普通の大工さんが作った設計でも確認は取れてしまうので、信用ならないものが多い。もっとも1級建築士といっても、意匠の専門家ばかりで、構造の専門家は少なく、木造建物の場合構造専門の設計士は関与しないので、よほど意識のしっかりしたところに頼まないと、耐震力、耐風力がかなり劣る建物ができてしまうので注意が必要だ。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹