企業法務コラム

ブラック企業相談会 残業代不払い訴え半数以上

 厚労省は1日「若者の使い捨てが疑われる企業等に関する無料電話相談」を実施した。いわゆるブラック企業についての相談会だ。主な相談内容は次のとおりだ。

1 賃金不払残業 556件(53.4%)
2 長時間労働・過重労働 414件(39.7%)
3 パワーハラスメント 163件(15.6%)

※参照
2013年9月5日 経済産業省 ニュースリリース
セーフティネット保証5号の対象となる業種を指定します(平成25年度第3四半期分)

(評)
 日経によると、「厚労省は「相談内容を精査し、労働基準法の疑いが強い企業については監督指導して行く」としている」とのこと。
 週刊新潮は、「“若者の『使い捨て』が疑われる企業等への取組を強化”ということで、1カ月間で約4000社に抜き打ちの立ち入り調査を行います」「今は社会的に“ブラック”という言葉づかいが一般化していますが、具体的にどういう点が問題なのかがはっきりしない。そこで労働基準法をベースに、“長時間労働”と“残業代未払い”を重点的に確認します。もちろん雇用形態は正規非正規を問いません」という厚労省職員の声を紹介している。
 出典を失念したが、厚労省は、離職率が業界内の平均的水準を大きく上回る企業に的を絞ることも考えているらしい。
 ブラック企業が一番恐れるのが、臨検監督。労働基準監督官が事業場に立ち入り、労働基準法、労働安全衛生法等に違反がないかを調査し、違反が認められれば、その場で是正指導・勧告が行われる。原則、臨検は事前に電話で予告して行われるが、サービス残業の調査など抜き打ちで行われる場合もある。今回のようなブラック企業の摘発ということになると、抜き打ち臨検が多く行われるのではないか。

※参照
2013年9月3日 日本経済新聞 朝刊
「ブラック企業」の電話相談 「残業代」が半数超す 全体で1042件 深刻なパワハラも目立つ
2013年8月30日 週刊新潮
社名公表に踏み切る厚労省「ブラック企業」査察

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年09月05日
法律事務所ホームワン