企業法務コラム

独占禁止法の改正案が閣議決定 公取委の審判に第1審的な機能が認められる

「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案」が5月24日閣議決定された
(1)公正取引委員会が行う審判制度を廃止するとともに,審決に係る抗告訴訟の第一審裁判権が東京高等裁判所に属するとの規定を廃止する。
(2)裁判所における専門性の確保等を図る観点から,排除措置命令等に係る抗告訴訟については,東京地方裁判所の専属管轄とする。
(3)実質的証拠法則(公正取引委員会の認定した事実は、これを立証する実質的な証拠があるときには、裁判所を拘束する旨の規定)の廃止
(4)新証拠提出制限(公正取引委員会が審判手続において正当な理由なく当該証拠を採用しなかった場合等に限り、被処分者は裁判所に対して新たな証拠の申出をすることができる旨の規定)の廃止

※参考
公正取引委員会ホームページ
(平成25年5月24日)「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案」の閣議決定について
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h25/may/130524.html

(評)
私的独占・談合・カルテルなど同法の規定に違反する行為を行った事業者に対して、公取委は排除措置命令をすることがある。事業者はこれに不服があっても、現行法上はすぐに裁判できない。まずは公取委に審判請求をして、そこで不服が認められなかった場合に初めて、裁判所に訴えること(抗告訴訟)ができることになっている。
裁判はいきなり高等裁判所からのスタートになる。しかも、この公取委の審判に第1審的な機能が認められ、実質的証拠法則とか、新証拠提出に制限があったりする。
今回の改正で、措置命令に不服がある場合は、すぐ訴訟を提起できることになり、管轄は東京地裁に限られる。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年06月03日
法律事務所ホームワン