企業法務コラム

総務省、災害に強い電子自治体に関する研究会を設置

総務省では、東日本大震災の教訓を踏まえ、「災害に強い電子自治体に関する研究会」を設置し、検討を重ねてきた。同省は、同会の検討結果を踏まえ、『地方公共団体におけるICT部門の業務継続計画(ICT-BCP)初動版サンプル』ほか、地方公共団体のICT-BCP策定の補助となる資料を取りまとめ、5月8日付で公表した。発災後概ね72時間を目安にした初動業務に焦点を当てた内容となっている。

※参照
総務省ホームページ
災害に強い電子自治体に関する研究会
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/denshijichi/index.html

(評)
ICTと聞いて、「?」と思われる方もいるだろう。Information and Communication Technologyの略語だが、内容はITと同じ。ただ、「C」が入っている分、恰好が良いということで最近使われ始めている用語だ。お役所では「IT」という言葉はもうほとんど使っていないのではないか。
官公庁は、震災時における、災害出動、避難誘導、災害状況把握体制の早期の復旧が求められている。ICT部門の業務継続計画(ICT-BCP)の市区町村における策定率は8.4%(平成24年4月現在)。
この内容には多少不満がある。当事務所としては以下の対策を推奨したい。

1 代替拠点の整備はBCPのイロハ。中小企業で、予算上無理なこともあろう。その場合、他企業との間で代替施設を提供し合うような協力体制を整備すること。

2 ラックマウント型サーバーは、床にアンカー打ち、アンカー打ちが無理ならば壁などに固定し、タワー型サーバーは、耐震ベルトなどを用いてしっかりと固定する。

3 ハードディスクは、Raidシステムとホットスペアを併用し、二重の障害対策を施しておくこと。また、バックアップには移送可能な装置を使用し、万一の代替拠点運用に備えること。

4 津波、河川の堤防決壊の心配がある地域では、水位の届かない場所にサーバを置くこと。

5 さらに空調が止まるため、空調が復旧するまではサーバの電源を落とす必要がある。停電に備え、シャットダウン処理に必要な容量を確保したUPSを運用しておく。また、常日頃から、緊急時体制、緊急時連絡先などを整備しておくこと。

6 インターネット網への接続手段も複数用意しておく(複数の業者と契約しておく)こと。

BCPについて、当事務所HPにも簡単な解説をしているのでそれも参照されたい。
http://www.kigyouhoumu.info/service/riskmanagement/bcp.html

キーワード:BCP ICT-BCP 電子自治体 震災対策

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年05月16日
法律事務所ホームワン