企業法務コラム

中小機構ファンドの出資総額が過去最高の334億円

中小機構(中小企業基盤整備機構)が12年度に実施したファンドの出資総額が334億円と、98年の出資事業開始以来、過去最高となった。334億円のうち、成長分野での新事業に取り組む企業や地域活性化に貢献する企業に出資する起業支援や成長支援ファンドへの12年度の出資額も199億円に上り、11年度(224億円)に次ぐ高水準だった。中小企業金融円滑化法の期限切れに対応するため、地域金融機関などと組成した企業再生ファンドは10本に上り、中小機構はファンド総額の半分を占める135億円を出資した。

(評)
中小機構のファンド事業は、起業支援ファンド、中小企業成長支援ファンド、中小企業再生ファンドの3事業がある。何れもVCなどの民間投資会社や金融機関、事業会社とともに投資ファンドを組成。有限責任組合員としてファンド総額の2分の1以内を出資する。個別企業への投資は、各ファンドを運営する投資会社等が行い、審査も投資会社が行う。投資後も、投資会社、中小機構(再生ファンドの場合は中小企業再生支援協議会)が、経営、商品開発、販路開拓といった幅広いアドバイスを、専門家を派遣する等して行い、企業の経営を助ける。
起業支援ファンドは、主に設立5年未満の創業又は成長初期の段階にある中小企業者が対象。
中小企業成長支援ファンドは、新事業展開、転業、事業の再編、承継等により新たな成長・発展を目指す中小企業者が対象。
中小企業再生ファンドは、過剰債務に陥ってはいるが、本業には相応の収益力があり、財務リストラや事業再構築により再生が可能な中小企業が対象。
大半のケースが株式投資による資金提供となっており、その場合、株主となったファンドと投資を受けた企業は、一つの目標に向かって長期間一緒に頑張っていくパートナーとなるので、企業の方向性や具体的計画とその実行等について、投資会社と投資を受ける側の企業が共通認識をもつことが必要になる。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年05月01日
法律事務所ホームワン