企業法務コラム

円安、「仕入れ価格上昇を販売価格に転嫁できず」73.3%

日本商工会議所は、「円安進行に伴う仕入れ価格上昇の経営への影響」調査をまとめた。それによると、販売価格への転嫁について、「ほぼ全額転嫁できている」は7・4%にすぎず、「一部転嫁できている」も19・3%にとどまった。逆に「ほとんど転嫁できておらず、今後も転嫁できない」は48・8%に達し、「ほとんど転嫁できていないが、今後転嫁する予定」が24・5%だった。
為替が1ドル=100円前後まで円安が進んだ場合、仕入れ価格上昇の影響は全産業で65・5%が「影響あり」と回答。影響ありとした企業の46・6%は「業績は悪化する見込み」、47・8%は「支障をきたすほどではないが、業績は若干悪化する見込み」で、「業績は改善する見込み」は5・6%に過ぎない。

※参照
2013年3月11日 中小企業基盤整備機構 J-net21
「円安「価格転嫁できず」73%、中小デメリット指摘-日商調べ」
http://j-net21.smrj.go.jp/watch/news_tyus/entry/20130311-08.html

(評)
マスコミでは、株高等好影響の記事が中心になっているが、円安についてはデメリット面もある。
韓国では、ウォン安政策で、財閥系企業は潤ったが、国民生活は窮乏した。そのため先般の大統領選挙でも、各候補は財閥優遇策の見直し=経済民主化を訴えた。
現在のウォン高も、政府も露骨な為替介入はできにくくなるという見通しもあってのことだ。
アベノミクス、日銀新総裁就任も現在は好影響面のみが強調されているが、今後はブレーキとアクセルを交互に踏みながら、為替の急激な変動を抑えることも必要になってくる。
政府、日銀の力量も試されるが、野党の力量も問われよう。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年03月13日
法律事務所ホームワン