企業法務コラム

日弁連「金融円滑化法終了110番」を実施 背景に日本固有の問題も

資金繰りをめぐる経営者からの相談に弁護士が直接応える無料電話相談「金融円滑化法終了110番」が3月7日、8日の2日間実施される。中小企業金融円滑化法の期限切れを3月末に控えた支援策として日本弁護士連合会が実施する。

※参照
日本弁護士連合会・全国の弁護士会 「金融円滑化法終了110番」
http://www.946jp.com/ben54/spot/20130307-08.pdf

(評)
最近、金融円滑化法終了関係のニュースが目につく。それだけ、この問題が中小企業、金融機関に与えるインパクトが大きいということだろう。確かに最近は円安に振れ(イタリア総選挙の影響による円高への揺り戻しもあったが)、株価も上昇が目立つ。しかし、金融円滑化法で支払い猶予を得た企業のうちにも、円安で却って収益が悪化する企業もあれば、円高や世界経済の減速とは無関係に、単に収益や売上の柱が細ってきたのでリスケしている、という構造的な業績悪化要因を抱えているところもある。こうした企業は最悪清算せざるをえない可能性がある。
いわゆるゾンビ企業の問題だが、日本の中小企業金融の場合、経営者が連帯保証したり、自宅を抵当に入れているため、会社が破たんすると、自分の生活も破たんする。そのため、会社に将来がないと分かっていながら、藁にもつかまらざるを得ない状況がある。
欧米では、社長が連帯保証するなどと言うことはありえない。欧米の企業家に「日本の社長は個人でも保証している」と言うと、びっくりされるという。しかし、日本ではそうした動きは見られない。債権法改正も、金融庁の指導も、経営に参加しない家族の保証は問題だが、経営者の保証はあってもいいという考え方がベースにある。ただ、日本の企業の新陳代謝を進める意味でも、目利きのバンカーを増やすためにも、社長の個人保証をとらない方向に進む必要があるのではないか。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年02月28日
法律事務所ホームワン