企業法務コラム

民法改正へ法制審試案 法定利率を低金利時代に合わせる等、抜本的な内容

民法の債権法部分の改正について、法制審の中間試案が、2月17日明らかになった。2015年の通常国会への提出を目指す。
改正項目は約300にも及び、抜本的と言っていい内容だ。
重要点でいえば、法定利率を年5%から年3%にし、1年ごとに0.5%の範囲内で利率を見直す、標準約款について不当条項を排除する、1~3年の短期消滅時効を廃止、債権譲渡禁止特約の効力を制限、契約交渉を不当に破棄した場合の損害賠償ルールを明文化、連帯保証人制度は経営者を除き廃止の方向で検討する等の案が示されている。

※参照
2012年2月19日 日本経済新聞 朝刊
「債務遅延の法定利率、変動制に 民法改正へ法制審試案 約款の不当条項は無効、経済界に異論」

(評)
法律の改正はしょっちゅうあるが、民法のような基本法規の改正はめったに行われない。しかし、今回の債権法改正は、抜本的なもので、社会生活、企業活動への影響も極めて大きい。
法定利率が年5%というのは、今のような低金利時代にはそぐわず、妥当と言えよう。法定利率の低下により、もっとも影響を受けるのが損害保険だ。損害金から法定利息の利率が低くなると、中間利息控除で引ける額が小さくなり、損害賠償金の額が一気に急増するからだ。損保会社は当然増えた負担を保険料に反映するから、物品、旅客運送業界にとって大きなコスト増となる。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年02月26日
法律事務所ホームワン