企業法務コラム

神戸港石綿禍訴訟 厚労省の認定基準、二審でも否定される

神戸港の貨物検査業務でアスベストを吸い、肺がんで死亡した男性の労災を認定しないのは不当として、遺族が国に処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は12日、請求を認めた一審神戸地裁判決を支持し、国側の控訴を棄却した。
判決によると、死亡したのは英規雄さん=当時(64)=で、約20年間、輸入貨物の数量を検査する検数作業に従事。03年に肺がんと診断され、神戸東労働基準監督署に労災申請したが、06年に死亡。労基署は同年、不支給を決定していた。
石綿被ばく作業に従事していて肺がんになっても、石綿肺といった明らかな所見を伴わない場合、肺組織中の石綿小体の数を基準に労災認定を行う。英さんの場合は741本で、認定されなかった。
谷口幸博裁判長は判決理由で「肺内にある石綿小体の量を基準とする国の運用は医学的知見に基づいておらず、合理性はない」と指摘し、国側の主張を認めなかった。

※参照
2013年2月12日 神戸新聞
「神戸港石綿禍訴訟 二審も労災不認定取り消す」
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201302/0005736661.shtml

(評)
厚労省は「石綿による疾病の認定基準」を定めている。中皮腫ならば、石綿暴露従事作業従事期間が1年以上であれば、労災認定される。しかし、肺がんの場合は、中皮腫に比べて認定基準が極めて厳しい。
石綿肺の存在、胸膜プラークの存在+10年以上の従事期間、広範な胸膜プラークの存在+1年以上の従事期間、びまん性胸膜肥厚の併発、石綿紡織製品製造作業等特定3業種に5年以上従事、石綿小体が乾燥肺重量1g当たり5,000本以上等の何れかの一つを満たしている必要がある。
この判決は、厚労省の認定基準を否定したものだ。国は間違いなく上告するだろうから、最高裁判断が注目される。

法律事務所ホームワン 代表弁護士 山田冬樹

2013年02月13日
法律事務所ホームワン