企業法務コラム

ものづくりの底力結集 墨田の中小企業グループが電気自動車制作

東京スカイツリー(東京都墨田区)への観光客に、下町のものづくりの力をアピールしようと同区の中小企業などが開発した電気自動車が完成した。地元 ゆかりの浮世絵師、葛飾北斎にちなみ、名前は「HOKUSAI-III(ホクサイ-3)」号。1人乗りの次世代移動手段として、19日からのスカイツリー 開業区民祝賀行事で一般公開される。 製作したのは、区内企業12社でつくる「すみだ新製品開発プロジェクト実行委員会」。区内観光地をめぐる身近な移動手段を開発しようと、平成19年に始動した。 

早稲田大学、墨田区との産官学協同で、これまで電気自動車2台を開発。公道を走り、段差を越えるのに必要な車高や右左折時の安定性などを調査し、改良し3号の完成にこぎ着けた。 HOKUSAI-IIIは全長196センチ、8時間の充電で35キロを走る。最小回転半径は2・6メートル、最高速度は時速50キロ。ボディーを全てアルミにして軽量化し、LED(発光ダイオード)照明を取り入れた。

レーシングカー製作で知られるノバ・エンジニアリングが構造設計し、ブリヂストンがタイヤ提供などで協力。開発費約960万円はほぼ全額区が助成した。塗 装、内装など企業がそれぞれ得意とする技術を出し合った。ハンドル中央やボディーなどには「北斎」の文字をデザインしたオーナメントがある。車は、19、20日に開かれるスカイツリー開業区民祝賀行事で一般公開される。街をめぐる広告・PR媒体として、協賛企業のステッカーを貼り、走行させる予定。

アルミボディーの成形、溶接を担当した浜野製作所の浜野慶一社長(49)は「部品加工など中小企業が担ってきた仕事は海外移転が進み、町工場は苦しいが、 将来へ飛躍するきっかけにしたい」。プロジェクト代表の墨田電材社、鈴木良昇社長(66)も「江戸時代から続くものづくりの拠点・墨田区で、職人の底力を 見せたい」と語った。

※引用
5月12日 産経新聞
「墨田の中小企業グループが電気自動車制作」

2012年05月24日
法律事務所ホームワン