企業法務コラム

11年度の倒産件数 20年ぶり低水準 震災関連は阪神の4倍

東京商工リサーチが9日発表した2011年度の全国の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は、前年度比2.7%減 の1万2707件となり、3年連続で前年を下回った。東日本大震災が発生したものの、中小企業金融円滑化法などが企業の資金繰りを下支えし、1991年以 来、20年ぶりに1万3000件を下回る低水準となった。

負債総額は3兆9906億円と15.5%減少。大型倒産が少なかったためで、90年度以来21年ぶりに4兆円を下回った。

東日本大震災関連の倒産は697件で、95年に発生し年間144件が倒産した阪神大震災の4倍のペースとなっている。阪神大震災では、倒産企業の8割が近畿に集中したが、東日本大震災では東京が180件で、52件の北海道が続くなど、全国規模で広がっている。

産業別にみると、悪化したのは飲食や宿泊などのサービス業と農林漁業・鉱業だけで、全10産業のうち8産業は倒産件数で前年を下回った。

このうち、製造業は9.8%減の1844件で、5年ぶりに2000件を割り込んだほか、不動産業、運輸業の倒産件数も約1割下回るなど、被害の大きさに比べ、震災影響は現状では限定的ともいえる。

倒産件数を押し下げているのは、中小企業金融円滑化法などの政府の支援策だ。ただ、同法で返済猶予を受けながら破綻した企業は170社と、前年の2.3倍まで増加した。「年度後半ほど増加ペースが増している」(商工リサーチ)など、政策効果は息切れが目立つ。

同法は1年間の延長方針が決められているが、金融機関からは「企業の廃業に向けたコンサルティングが増えている」(大手銀行)という。商工リサーチでは「今後、復興需要との関係が薄い中小、零細の倒産が急増する可能性がある」とみている。

※引用
4月11日 フジサンケイビジネスアイ
「http://www.sankeibiz.jp/business/news/120411/bsd1204111318011-n1.htm」

2012年04月20日
法律事務所ホームワン