企業法務コラム

≪注目メモ≫産業復興支援センターの概要まとまる

銀行融資返済中に被災し、工場等の設備が利用不能になった事業者の場合、事業継続のためには、一方で設備投資のため新たに融資を受けながら、他方で既存債務を払っていかなければならない。しかし、新規債務、既存債務の双方を約定どおり返済するのは容易ではない。
経産省は、こうした二重ローン対策の核となる産業復興相談センターの設立に向け、センターが行う業務の内容、手続、基準を定めた「中小企業再生支援協議会事業(産業復興相談センター事業)実施基本要領」を10月7日付で公表した。産業復興相談センターは、被災県ごとに設立される。既に岩手に開設され、今後宮城、福島にも開設される予定とのことである(当事務所による聞き取り調査)。
相談があれば、まず窓口相談事業部門が、再生可能かどうかを判断、返済能力に応じ案件を振り分ける。
新規融資の返済と並行して、既存債務の返済計画をリスケジュールすることで再生可能な場合は、同センターの再生計画策定支援事業部門が担当する。同部門は、債権額が上位のシェアを占める銀行等の金融機関と連携し、具体的で実現可能な返済計画の策定を支援する。
当該被災中小企業が、既存融資の返済を凍結し、新規融資の返済に専念させてもらえれば、何とか再生できる場合は、債権買取支援事業部門の担当となる。主要取引金融機関が新規融資を行うが、そのままだと新規債務と既存債務の双方を払うことになるが、同部門が働きかけ、別に設立された債権買取機構に既存債務を買い取ってもらい、返済を凍結。被災企業が、5年後、新規融資を完済する等して再建を果たした場合は、機構は既存債務を地域金融機関など第三者に売却、その時点で既存債務の支払が再開される。当初5年間は新規債務を、その後は既存債務の返済を行うことで企業は再建を果たすことができる。

(法律事務所ホームワン代表弁護士:山田冬樹)

※参考
中小企業庁HP

2011年10月18日
法律事務所ホームワン